専門医コラム

2020/10/20

頻尿と漢方処方 尿と眼疾患

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寒くなるとトイレが近くてお困りの方も多いのではないでしょうか?

 

前回に引き続いて頻尿に対しての東洋医学的考えをご紹介します。

 

病名ではなく、「五臓六腑」のどこに異常があるかによって治療方針を決定!

 

東洋医学では、病気は臓腑の変調によって起こるとされています。「五臓六腑」ということばを耳にすることがありますが、この五臓六腑というのは、人体の中心となる臓腑のことを指す言葉です。東洋医学で五臓六腑は内臓の総称として用いられてきましたが、今日の解剖学的知識とは必ずしも一致していません

 

尿は六腑(大腸,小腸,胆,胃,三焦,膀胱の6つ)膀胱に貯蔵され、五臓(肝,心,脾,肺,腎の5つ)の作用によって排泄が調節されると捉えます。また、体の全体の機能を調整する五臓の(かん)や、体液の調整をするの機能も関係してきます。人体の主な構成成分である気・血(けつ)・津液(しんえき)の中では、人体に必要な正常な体液を意味する「津液」が最も関与します。

 

五臓六腑のうち、五臓は気・血・津液などを生成し貯蔵する機能的単位であり、六腑は飲食物を受け入れて排泄まで導く中空の器官です。これらのうち五臓のと六腑の膀胱は密接な関係にあり、両者の連携により、排尿がコントロールされます。臓と腑の関連は深く、臓腑は「表裏をなす」関係にあるといいます(臓が陰で裏、腑が陽で表)。

 

 

 

    • 「三焦」というのは、三つの熱源という意味です。

       

      人間の体は、生きている間は温かいので、体の中に熱をつくる源があるに違いないという考えから生まれもので、これは東洋医学独自の考え方です。世の中には西洋医学や現代科学では割り切って考えられないことが多くあります。東洋医学では、長年の経験的な治療のなかで、形のない臓器をつくることによって、この割り切れないものを実際の人間の実情に当てはめたものとも言えます。

 

 

 

 

頻尿の証(体調・体質を示す「証」)

 

西洋医学では病名をつけて、それを治療することを目的とします(対症療法)。漢方では病気をみるのではなく、そのひとの今の体調や、もともとの体質、なぜそうなったかの病因などを総合的に分析して判断します。

 

これを証(しょう)と呼ぶのですが、具体的にいうと、「頭が重い」「寒気がする」といった患者自身の主観と、医師の診断によって収集された客観的なものの両方を総合します。

 

では以下に「頻尿」が生じている場合の ”証” の例を示します。

 

一つ目は「腎陽虚(じんようきょ)」証です。成長・発育・生殖および水液や骨をつかさどる五臓の腎の陽気が不足している体質です。陽気とは気のことで、人体の構成成分を陰陽に分けて考える場合、陰液と対比させて陽気と呼びます。老化や慢性疾患により人体の機能が衰えて冷えが生じるとこの証になり、特に夜間に頻尿になりやすくなります。昼間は津液を全身に行き渡らせる機能の低下により津液が停滞し、むくみやすくなり、尿量はむしろ少なめです。体を温めて腎陽を補う漢方薬を使います。

 

二つ目は「腎陰虚(じんいんきょ)」証です。腎陽虚と異なり、陰液が不足している体質です。陰液とは、人体の構成成分のうち、血・津液・精(せい)を指します。精は、腎に貯えられる、生きるために必要なエネルギーや栄養の基本物質のことです。加齢や過労、不規則な生活、大病や慢性的な体調不良などによって精が減ると、尿を保持することができなくなり、頻尿が生じます。尿の色は濃く、量は少ないです。腎の精気など腎陰を補う漢方薬で頻尿を治します。

 

三つ目は「肝鬱気滞(かんうつきたい)」証です。体の諸機能を調節(疏泄:そせつ)する臓腑である五臓の肝の気(肝気)の流れが滞っている体質です。ストレスや緊張が持続すると、この証になります。肝気の流れの悪化の影響が膀胱に及ぶと、膀胱内の尿量が少なくても尿意を催しやすくなり、頻尿になります。尿意促迫も生じます。漢方薬で肝気の鬱結を和らげて肝気の流れをスムーズにし、頻尿を治していきます。

 

四つ目は「肺気虚(はいききょ)」証です。過労や慢性的な体調不良の影響で、水分代謝をつかさどる五臓の肺の機能(肺気)が衰え、津液が全身に散布されずに膀胱に下降し、頻尿になります。色の薄い尿が、特に疲れたときなどに多く出ます。肺気を補う漢方薬で津液の流れを正常化させ、頻尿を治します。

 

上記のような臓腑の失調以外にも、頻尿となる証があります。

 

五つ目は「寒凝(かんぎょう)」証です。寒い季節や寒冷な環境、冷たい飲食物の摂取などにより、寒冷の性質を持つ病邪である寒邪(かんじゃ)が体内に侵入すると、この証になります。そして寒邪が腎や膀胱に下降してその機能を乱すと、頻尿になります。冷えて薄い色の尿が出ます。体を温めて寒邪を取り除く漢方薬で頻尿を改善します。

 

六つ目は「湿熱(しつねつ)」証です。湿熱は体内で過剰な湿邪と熱邪が結合したものです。脂っこい物、刺激物、味の濃い物、生ものやアルコール類の日常的摂取や大量摂取、不潔な物の飲食、あるいは細菌の尿路への侵入などにより、この証になります。湿熱邪が膀胱に侵入することにより、頻尿が発生します。尿の色は濃く、尿意促迫や排尿痛もみられます。漢方薬で湿熱を除去し、頻尿を改善していきます。

 

同じ「頻尿」という症状であっても、その原因によって治療法が異なることを理解いただけたでしょうか? 

 

また、上記の6パターン、よく考えると頻尿の原因となっている状態が続けば、尿以外の症状も起こしそうですよね! こうした全身状態が長く続けば、全身的な「病気」に繋がっていきます。当然、カラダの一部である「目」にも大きく影響を及ぼします。

 

今回は具体的な眼疾患を挙げての解説は行いませんが、全身状態が「眼疾患」に深くかかわることを理解いただければ幸いです。そのために、全身状態を短時間で簡易にスクリーニングできる全身スキャナー、アムサットを当院では推奨しております。眼科疾患はもちろんですが、全身的な慢性疾患にお困りの方は是非カラダの状態を3Dで簡単に確認いただけるアムサットでご自身の身体の状態をご確認ください。

 

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おぐりクリニック (滋賀、長浜イオン西隣)

 

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