専門医コラム

2016/04/15

良く噛む健康法 「食事制限はイヤ!」という方へ

今回は『噛む』ことの重要性をお話しします。と言っている私は以前、恐ろしく早食いでした。今でも、急いでいるとついつい早く食べてしまう癖が残っているので、注意しています!?

(写真は名古屋名物 味噌煮込みうどん!)

食物を徹底的によく噛む

裕福な時計商であったホーレス・フレッチャー氏は美食好きの生活が災いして若くして病気になってしまいました。しかし、自身で見つけた健康法の一つとして食物を徹底的によく噛むことによって若々しい体力を取り戻しました。

これが当時、イギリスやアメリカの名門大学の生理学者、栄養学者、さらには運動学者に影響し、世界的な評価を得るに至りました。フレッチャーはこの自分の経験から本を執筆し、フレッチャーイズムが世界中に広まったのです。

フレッチャーイズム

フレッチャーは、世界中から食材を取り寄せ、自分専用のコックを5人も雇い、美食を楽しんでいました。その結果、心臓に異常をきたし、消化器系統も病的状態になりました。40歳で171cm、体重は100kg 近くにもなりました! 「こんな身体では自分の将来が心配だ」と思い、生命保険に入ろうとしました。しかし身体検査の結果で不合格となり、生命保険の契約を断られてしまいました。

自分のこうした辛い経験をもとに様々な勉強をしてフレッチャーが実践し始めたのはごく単純なことでした。

空腹になってから食べること」「徹底的によく噛んで食べること」のたった2つです。

開始から半年後には、体重が65kgになり、今までの1/3の食事量で満足できるほど少食になりました。そして、食物の好みが変わって菜食者となり、心が安定してイライラしなくなり、糖尿病・高血圧・心臓病が治って健康を取り戻したのです

フレッチャーが実践した要点は「咀嚼」「少食」「菜食」「シンプルな調理法」です。

口の中での消化

「よく噛む」と言えば、マクロビオティックでも、玄米飯を一口につき200~300回は噛んで噛んで、噛み尽すまで噛む咀嚼療法」が知られています。この「よく噛む」というのは「よく噛んで飲み込めば、胃腸への消化の負担が減る」というだけではありません。

「人間の消化作用は胃から始まる」と思っている人が多いでしょうが、正しくは「口内」から始まっています。口に入れた食物をよく噛むことによって唾液がよく混ざり、唾液の中の消化酵素が、よく噛めば噛むほど、消化酵素による口内での消化が行われていきます口内消化:たんぱく質を分解する酵素は含まれていません)。このため消化管での消化の負担が減り、食物の栄養が腸で吸収されやすくなる、すなわち少量の食事量で充分な栄養吸収につながると考えられます。

食事をすれば自動的に食物の栄養はすべて吸収されていると思われていませんか?

食べた量=栄養吸収量、ではないのです。現代の日本人は美食や過食によって腸内フローラが乱れてしまし、宿便を溜めて腸機能が十分に働いていない方が増えています。これでは腸が栄養を吸収できず、食べた物の栄養が腸を通り抜けて体外へ排出されているかもしれません。少食や断食の継続で宿便が排泄されると腸内細菌状態が改善しやすくなり、腸の吸収率が上がります。その結果、少量の食事でも食べた物に含まれる栄養を十分に吸収するように腸がリセットされるのです。

何故、一日一食の少食で健康になるのか

最近は少食のススメといった内容の書籍が数々出版されるようになりました。一日に一食にしている方も私の周りでも増えているようです。少食については過去のコラムを参照ください(食べない事が健康の秘訣病気にならないコツ!)。 こういう少食者は周りの人たちから「一日一食でお腹減らない? 体に悪いんじゃないの?」「もっと食べなさい!」など、言われていることでしょう。しかし、一日一食で十分な少食者こそ、優れた腸機能を持っているのです。そのような少食者は病弱なのでしょうか?  実は、多くの場合、一日一食の食事で至って健康そのものです。一日一食の食事量であっても、その食べた食事に含まれる栄養を十分吸収できる腸を持っているので、それで不足なく充分に足りてしまうのです。それ以上の食事は過食になってしまうので、自然と身体が求めないのです。

このことは私自身、身をもって経験しています。 一日二食までは身体が何とか動きますが、三食にすると何と身体が重くなることか!

野生動物で一日二食以上食べる動物は殆どいません。場合によっては二日、あるいは数日に一回という場合もあるでしょう。

完全咀嚼法はいつでも誰でも無料で可能

一日に三食も美食したり過食したりしているような方は決まって宿便が溜まって、腸の機能も低下しています。そうなると栄養吸収率が悪く、一日三食しっかりと食べたところが、三食分の栄養吸収はできていないのです。しっかりと栄養吸収ができていないから、もっともっとと自然と身体が食事を要求して、難なく過食ができてしまいます。優れた栄養吸収率を誇る腸の保持者は絶対に過食はできません。過食すれば過食した分も根こそぎ栄養吸収してしまうので、強い眠気に襲われたり、栄養摂取過多に陥って体調を崩します。一日三食も食べているうちは、腸はまともに働いていないと考えると良いのではないでしょうか。

昔から「少食に利有り」、「腹七分目」と言われてきましたが、現代医学に当てはめても理にかなっていると言えます。

このように、栄養摂取を見つめるときは「栄養吸収率」まで考えなければいけません。十分に咀嚼してから食べれば栄養吸収率も上がり、少量の食事量で足りるようにもなり、それだけ胃腸に余計な負担をかけないですむようになるでしょう

この完全咀嚼法は、特別にお金がかかるものではありません。フレッチャーが残してくれた「完全咀嚼法」はお金のかからない価値ある健康法のひとつです。是非、お子さんが小さいうちから覚えていただきたい方法だと思います。

また、『野菜や果物だけ食べるのが良いことはわかっているけど、急に食事の好みを変えることが出来ない・・・』という方にも有効な手段です!

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