専門医コラム
2016/01/08
アンチエイジング Anti-aging Medecine その②(プラセンタ)
女性に人気のプラセンタ! 女性誌の美容関係のページには必ずと言っていい程、プラセンタという名前が出ています。
しかしながら、プラセンタの何が良いのかについては多くの方がご存じないようです。
プラセンタ(注射・経口)
最近、プラセンタの効果は美容の分野でクローズアップされていますが、肝臓や更年期障害の薬としては約50年前から使われています。
基本的にホルモンは含まれていませんが、赤ちゃんがお母さんのお腹の中で大きくなる為に必要な成長因子等が含まれているとされています。
プラセンタ療法、プラセンタ組織療法とは?
プラセンタ=胎盤ですが、古くは明の時代の本草綱目に「紫河車」として詳しく書かれています。
日本では、加賀藩の3大秘薬のひとつである混元丹に処方され滋養強壮薬として昭和の終わり頃までは使われていたそうです。
一方、1993年にウクライナ共和国の眼科医フィラトフは組織療法を創案しました。
角膜移植をするのに、新鮮角膜よりも数日冷蔵保存した角膜の方が、成績が良かったことから、「生体から切り離された、ヒトまたは動物や植物の組織は、不利な、しかし組織を死に至らしめるほどではない環境下におかれると、組織の生命を維持するための物質を形成する。この物質を、生物原刺激素(Biogenic Stimulator)と名付け、これが病める生体に導入されると、その生体反応を高め、快復に導く。」という仮説を立て、この組織を移植する方法を組織療法としました。
戦後、 日本に冷凍植皮術(性格には冷蔵植皮術とすべきところ)として紹介され、もしくは中国でしていた医師たちが持ち帰ったのが日本でのプラセンタ治療のはじまりで、基礎研究も大学などの研究機関でおこなわれたようです。
当時の医学雑誌に「・・・その治療効果は臨床的にほぼ確立されながら、生物原刺激素の本体とその作用機序に関しては、多くの実験があるのも拘わらず、定説を得ていないのが現状のようである。・・・」とあります。
これは漢方薬と同じく、単一の物質が作用するのではなく、さまざまな成分のハーモニーのなせる業でしょうから、今の科学で分析しきるには手強い相手かもしれません。
効果もソ連、中国含めて、疲れにくくなる、肌がきれいになる、二日酔いをしないという3点はたいてい共通していますが、この効果は数値化できにくくそれゆえ化学的と認められないという側面もあります。しかし、喘息、アトピー性皮膚炎、膠原病などに効果があり、癌による疼痛の緩和、腹水の消失も起こっており、今日の西洋薬の遠く及ぶところではありません。
『組織療法は上述のごとく広大な領域に於いてその治療効果をあらわすが、これは、ただある病原体にのみ作用するというような、またある臓器にのみ親和性を示すというような、所謂特異的療法ではなくて、「全一体としての生体」に対して働く、(非特異的な)治療法だからである。(前記は、前出の当時の医学雑誌の一文です。)
プラセンタの治療と治療タイミング?
プラセンタ療法は、プラセンタに含まれる組織再生因子により体の組織や器官の細胞の働きを活性化させ、体自身が自然に病気を治そうとする力を高めます。プラセンタ療法の効果は、特定の病気に限定せずいろいろな病気に対して良い効果を上げています。
当院では「組織療法・プラセンタ埋没療法」を実施しています。
主に、臀部に局所麻酔を行った後、プラセンタを注入します。処置時間は15分程度の短時間で済みます。
(処置後は局所に軽い痛みや、場合によっては発熱を伴うことがありますが、数時間から数日で収まります。)
治療のタイミングは、いつからでも始められることが特徴です。2回目は1回目からおよそ一週間後に、その後は一ヶ月間隔を目安に行うといいでしょう。効果には個人差がありますから、治療の間隔や回数に制限は設けていません。また、いつ治療を中止されてもかまいません。リバウンド(中止したときに急に症状が悪化すること)を起こすことは殆どありません。
治療に使用するプラセンタは、血液は完全に除去し、エイズやC型肝炎等の感染症にかかっている方の胎盤は使用しません。 また、高温高圧で厳重な加熱滅菌処理したものを使用しますので、感染症の心配はありません。
プラセンタには副作用がほとんどありません。体質によっては稀に、カユミや発疹として体に現れたり、微熱や体がだるいなどの自覚症状が現れますが、数時間から数日で解消しますので心配ありません。
他の治療との併用については、現在他の医療機関で受けている治療と併用しても差し支えありません。
当院では、「オゾン療法」や「高濃度ビタミンC点滴」をコンビネーションで取り入れた治療も行っています。
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