専門医コラム
2016/04/11
飛蚊症は治せる!?
目の前を小さな「浮遊物」が飛んでいるように見えることがあります。形状は糸状だったり、小さな粒や丸い輪、また、半透明の場合もあります。
「邪魔だな」と思って視線を変えても、浮遊物は一緒に移動してきます。目をこすっても変化がなく、一向に消えてくれません。
とくに明るい場所ではっきりと見え、気になって仕方ありません。 人間、気にすればするほど、より気になってしまうものです。こうした目の症状を「飛蚊症」といいます。
次のような見え方が代表的です。
(参天製薬資料より転載)
現在、保険診療では治療法がない ”生理的 飛蚊症”
網膜に穴が開いて飛蚊症が生じる場合がありますが多くはありません。この場合は網膜への治療が必要となりますので、眼科で精密検査をして見つけ次第、レーザー照射を行います。もちろん当院でも対応しており、多くは発見次第、患者様の都合にもよりますが当日治療を行います。
そのような病的なものでない場合は、”生理的飛蚊症” と診断されます。
多くの眼科医は、「老化やストレスなどによるものですから気にしないで下さい。特に治療の必要はありません。」と伝えます。実は、飛蚊症を自覚する方のうち、99%以上がこの ”生理的飛蚊症” です。
そう説明されても、目の前に常に浮遊する ”ゴミ” は気になります。
それに、仮にも「飛蚊症」という ”診断” なのですからなおさらです。しかし現在、生理的飛蚊症には保険診療では治療方法が確立されていないため、眼科医としても保険診療治療を提案することが出来ないのです。
それでは、一体どうすればよいのでしょうか?
「生理的 飛蚊症」 の原因について
まずは、なぜ飛蚊症が起こるのか、飛蚊症の原因とメカニズム、そしてその原因に対しての治療方法をご説明します。
目は外から入った光を 「網膜」 に写して映像を結びます。しかしこの時、有害な紫外線を同時に浴びることになります。
この紫外線が網膜を通して目に入ると、硝子体中に "活性酸素" が発生し、 その結果たんぱく質や脂質が酸化されてしまいます。
やがて硝子体の組織が酸化(酸化とは "サビ" ることです)により濁りを生じ、飛蚊症に繋がるのです。
若い時や身体を "サビ” から守る免疫機能が正常であれば、目に発生した 「活性酸素」 をすぐに分解することができるため、硝子体の組織の酸化を抑え、飛蚊症を防いでくれます。
しかし生活習慣等が原因で免疫力が弱くなると、硝子体組織の酸化を抑えきれず飛蚊症となります。
最近では、生活環境や生活習慣の変化で若い方でも免疫力が悪化し、飛蚊症になる方が急増しています。
花粉症の若い方が増えていますが、こうしたアレルギー体質は免疫力の低下そのものです。
飛蚊症が起こるメカニズム
人間の眼球の大部分は、”硝子体”という「ゼリー状」の物体で中を満たされています。
光が”角膜” と ”水晶体”を通して入ってくると、この硝子体を通過して”網膜”に達し、映像を結びます。
ところが硝子体が前述のように酸化により劣化すると、硝子体の中の繊維組織が壊れ混濁したタンパク質が硝子体の中に浮いてしまいます。
この変性タンパク質の影が網膜に映り浮遊物 として見えます。
これが生理的飛蚊症の正体です。

飛蚊症の対策
前途のように、飛蚊症の原因の多くは「活性酸素」で、眼内に活性酸素を発生させる避けられない原因は「紫外線」です。
そのため、外出時には日光による紫外線から目を守るためにサングラスを着用したり、紫外線を発するテレビやパソコン画面の利用時間を減らすなど、 少しでも「活性酸素」を体内に発生させないことが予防法です。
しかし、大事なことは太陽の光から逃れることが出来ないということです。我々人間は太陽がないと生きていけないのは周知の事実です。
ですから我々の身体の中には、本来こうした酸化を防ぐ免疫力が備わっています。
残念ながら多くの方の現在の食生活は身体の免疫力を破壊する方向に働きます。その結果が、若いうちからの花粉症やアトピー、喘息などのアレルギー体質の増加です。また、野性動物に癌は殆ど起こりませんが、少なくとも日本人の50%では生涯に1度は癌の診断を受けているのが現状です。見つかっていないものを含めると、おそらく60%以上の日本人に癌が生じていると考えられます。そのために当院では "目はカラダの先行指標” の考えから、目の疾患から全身状態の問題をお伝えして、希望者には体質改善治療を提案させていただいております。
今回の生理的飛蚊症と呼ばれる症状も、免疫力を改善するカラダの治療で飛蚊症の改善が期待できます。さらにも、当然ですが全身的な不調や病気も改善に向かうのです。
目の前にチラチラ飛んでいる! 飛蚊症は治せる!?(動画による解説)
我々は ”食べたもので出来ている” のです。