専門医コラム

2019/01/11

なぜ私たちは呼吸をするのでしょう?②

2018/12/9 のコラムの続きです。

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細胞のなかのミトコンドリアで酸素を用いて栄養素を燃やしエネルギーを得るためにわれわれは呼吸をしているということをお伝えしました。

では、どうやって酸素を用いて栄養素を燃やしているのでしょう?

それを理解する上で、体内で産生されるエネルギーの正体、「ATP(アデノシン三リン酸)」についてお話しします。

アデノシン三リン酸(adenosine tri phosphate : ATP)

ATP、中学校の理科の授業で勉強したことがあると思います。何のことかわからなかったという人も多いのでは(笑)。

ATPは痛風の原因のプリン体の材料となる物質としても知られています。

正式名称はアデノシン三リン酸(adenosine tri phosphate : ATP)です。

アデニン(塩基) リボース(五炭糖) リン酸 から構成される物質です。

アデニン(塩基)とリボース(五炭糖)が結合したアデノシン

3個のリン酸が結合しているので、「三リン酸」と呼ばれます。

参考までに、塩基と糖が結合した化合物が ヌクレオシド (nucleoside) です。

これにリン酸基が結合すると ヌクレオチド (nucleotide) になります。

リン酸基が結合しているか、していないかの違いです。

ヌクレオチドは DNAやRNAの構成単位でもあり

細胞内情報伝達に関わるcAMP (サイクリックエーエムピー) も ヌクレオチドの仲間です。

少し話がそれますが、 ATPに,細胞膜に存在するアデニールシクラーゼという酵素が作用してつくりだされるのがcAMP (環状 AMPとも呼ばれます) で,

グリコーゲンの分解を促進します。

動物の体内でグリコーゲンを分解してグルコースをつくる必要が生じると、グルカゴンやエピネフリンなどのホルモンが血中に放出されます。これらのホルモンが肝臓などの細胞膜の外側に結合すると、膜の内側でcAMPがつくられます。これがグリコーゲン代謝系の酵素を活性化します。

すなわちホルモンは細胞表面までの第一の伝令物質であり、細胞内部ではバトンタッチするがごとく第二の伝令物質cAMPが働きます。そのためcAMPはセカンドメッセンジャーともよばれます。

話をもどしますが、このATPこそが 我々が生きるために体内で用いられているエネルギーの正体なのです。

ATPを構成する3個のリン酸の2番目と3番目の結合には 大きなエネルギーが蓄えられておりリン酸の結合がひとつが離れて

ATPがADP(アデノシン二リン酸)になるときに、1モルあたり約7Kcalのエネルギーが放出されます。

ヒトはこのエネルギーを さまざまな生体反応に用いています。

ATPは さまざまな場所で さまざまな状況下でおこる生体反応で

どこでも いつでも 利用されるので

人体のエネルギー『通貨』と表現される場合があります。

そしてATPは 細胞内で 栄養素から作り出されます。

実は、1日に体重とほぼ同じ量のATPが産生されます。

しかし、産生と同時にあっという間に使われてしまい貯蔵することはできません。

ちなみに ヒトの体内では 摂取した栄養素が有するエネルギーの約45%がATPに変換され残りの55%のエネルギーは熱となり体温保持に使われたり空気中に放出されます。

さらには体内で作られたATPの90%近くがタンパク質の合成に使われています。タンパク質合成に、多くのエネルギーが必要であることが理解されます。毎日皮膚が再生して、髪の毛が伸び、爪が伸びるのもタンパク質合成力のおかげです。爪の伸びが年齢とともに遅くなるのは、このATPの生成量が影響していることは容易に想像できます。

ヒトの生命活動におけるATPの重要性をご理解いただけたでしょうか?

これが今回の重要なポイントです。

その大事なATPを栄養素から作り出す過程で酸素が必要とされます!

これが、ヒトが呼吸をする理由であり、生きるためのエネルギーを作り続ける為に酸素を体内に取り込んでいるのです!

そして、われわれの体内で栄養素からATPが作り出される製造所、それがミトコンドリアなのです。ミトコンドリアが、「体内の発電所」と言われる理由はここにあります。

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