糖尿病網膜症は、発症してしまうと完全に治すことが困難な病気です。目の中の光を捉える網膜(カメラのフイルムに例えられることが多いです)があたかも食べ物が腐るかのように壊れて行くからです。
単純性網膜症の段階ですと、全身的な糖尿病管理をすることで網膜に生じている出血が改善すれば大きな後遺障害を残さずに治ることが出来ます。
しかし、前増殖網膜症の段階に入ると、既に網膜が「腐り始めた」ために正常な状態の戻ることは困難とされています。
一般的な保険診療での治療は症状の悪化を防ぐために行われます。
糖尿病網膜症の進行段階
初期: 単純糖尿病網膜症
糖尿病自体の治療と同様、血糖(血液中の糖分量)をコントロールすることが重要です。身体のコントロールの改善で網膜症も改善できる時期です。
中期: 前増殖糖尿病網膜症
この段階では血糖コントロールを行っても、網膜症単独で悪化が進む時期です。網膜の傷んだ部分に「新生血管」と呼ばれる脆い血管が出現します。この新生血管は破れやすく、硝子体出血と言う大きな出血を眼内に生じると突然視力低下を起こします(増殖糖尿病網膜症)。前増殖糖尿病網膜症の段階で食い止め、新生血管の発生を防ぐために、レーザー光線で眼底を焼く「レーザー光凝固術」が行われます。この段階で網膜症を抑えることが出来れば、生活に支障のないレベルの視力を残せることが多いです。
末期: 増殖糖尿病網膜症
眼内に新生血管の破れから突然硝子体出血を生じて失明に近い状態になることがあります。さらに網膜症が進行すると難治性の網膜剥離を生じ、視力の温存が難しくなります。そのための硝子体手術と呼ばれる外科治療などが行われます。
治療費用
「レーザー光凝固術」は網膜症の程度に寄りますが、網膜に過度の負担がかからないよう通常は複数回に分けて照射します。治療費用は3割負担で54300円、1割負担で18100円です。この費用に、通常の診察費用が必要となります。初回のみこの費用がかかり、2回目以降は診察費用のみのご負担となります(再診対応で、院内処方の薬を入れても3割負担の方でも2,000円以内位で済むことが多いです)。
「硝子体手術」の場合は、1割負担で約5万円、3割負担で15万円程度とお考えください。一般的には術後の再出血等の管理、糖尿病そのものの全身管理も含めて入院加療をお勧めします。
「レーザー光凝固術」、「硝子体手術」ともに保険診療の中では比較的高額です。幸いどちらの治療も手術給付金の出る医療保険あるいは生命保険に入っている方は給付金が出ることが多く、保険を活用されると良いでしょう。ご加入の保険会社にご相談ください。治療件数としては「レーザー光凝固術」が多く、手術名は「K276網膜光凝固術 2その他特殊なもの(一連につき)」です。この手術名で生命保険会社にお尋ねいただき、指定の診断書を当院の受付に出してください。
治療のタイミング
糖尿病網膜症は、自覚症状が出てからでは治療をしても患者さんの期待に応えられない場合が多くなります。
糖尿病の診断を受けた人は、自覚症状がなくても、眼科を受診して目の健康状態を定期的に調べる必要があります。
しかし重要なのは糖尿病にならないこと、なってしまったら早期に生活習慣改善を行うことです。
こと血糖値だけを重要視して、血糖降下剤を飲んで数値が下がっていると安心してしまう方が大勢おられます。しかし、薬で血糖を下げていても糖尿病になった生活習慣を変えなければやがては薬の合併症で次のに新たな病気に繋がってしまうのです。
「糖尿病は治らない」と思っている方が多いようです。しかし、病気になった原因を解決すれば完治は可能と考えます。問題は、糖尿病は関知できても、臓器不全に陥った全身合併症は後遺症として残ってしまいます。目に関していうと、増殖糖尿病網膜症に至っていますと、腐り落ちて失った視細胞、一旦死んだ視細胞は回復しません。そのため視力の回復は期待できなくなります。
普段から生活習慣で糖尿病にならないように注意することが最善ですが、仮に糖尿病を発症した場合は、そうなった原因を改善して下さい。「早期発見、早期治療」が重要なことは言うまでもありません。
糖尿病網膜症 当院での治療
保険診療以外の当院での治療
桑の葉の有効性も、糖尿病診断を受けた方は是非生活に取り入れられることをお勧めします!
当院隣接のコンタクトレンズ・オピュールで販売している医療機関専用商品「桑葉青汁おいしい緑-D」
桑の葉に大麦の若葉と有胞子乳酸菌を加えた、おいしく飲みやすい細粒タイプの栄養補助食品です。お子様からご年配の方まで、野菜不足を気にする皆様におすすめします。更には、血糖スパイクを抑える効果から、糖尿病、高血圧の方にも効果が期待できるのです。
桑は養蚕のため日本各地で植栽されてきた植物ですが、古くは鎌倉時代から糖尿病予防効果がうたわれてきた素材です。研究の成果から、桑葉には糖の消化酵素に対する強い阻害活性があり、食後の血糖値上昇を穏やかにする効果が期待できることがわかり、糖尿病の予防につながるとして注目されています。
糖尿病の食管理について
食管理というとカロリー計算に目が向きがちです。しかし、野生動物は糖尿病になりません。糖尿病になるのは人間と、人間に餌をもらうペットや家畜だけです。
どれだけ食べても病気にならない方法があるのです。
基本的に『ナチュラルハイジーン』という考え方を私は推奨しています。この考えを知った上で、ご自身の生活習慣に取り入れていただきたいと思います。
参考までに食物消化が、我々の消化器にどれだけ負担をかけているかも以下を参考にしてください。
現代生活から全く離れることは難しいでしょう。例えば、炭水化物や動物性蛋白、乳製品を摂取することで体内に取り込む『不用物』を出来るだけ吸収せず、体外に排出する方法として『食用炭』の活用は有効です。