専門医コラム

2018/01/06

糖尿病治療 低血糖の注意

糖尿病治療 インスリン注射

内服薬で糖尿病の血糖コントロール効果が得られなくなると、インスリン注射が開始されます。

インスリン注射の問題点

SU剤と同様、一度体内に入ってしまうと身体の状態に応じて効き目をコントロールするということが出来ません。その場合、低血糖状態になる可能性があります。

インスリン注射はホルモンそのものを体内に直接入れる治療です。経口糖尿病薬よりも直接的に作用します。身体への作用も大きくなります。効きすぎて血糖が下がりすぎる危険性が経口薬よりもより大きいのです。

注射に使用されるインスリンは、我々が自分の体内で出すインスリンとは異なります。身体にとっては「異物」なのです。

身体が異物とみなしてしまうと、身体は異物に対処しようとして抗体を作ります。やがて、そのインスリン剤は徐々に効かなくなっていきます。どんどん量を増やしていくことになります。量が増えれば増えるほど、止めることが難しくなります。依存度が高くなるからです。「止められない、止まらない・・・」どこかで聞いたようなフレーズですね。

更に問題は、「ホルモン」を人間が人為的にコントロールできるのか、という点です。

ホルモンは非常に繊細なもので、ごく微量な単位で身体を調整しています。それだけに、わずかの量の増減で身体の状態が大きく左右されます。

橋爪勝先生は、「人間の体は機械とは違います。効果も影響も一人一人ちがいます。それを、実測体重1キログラムあたり、1日xx単位などと、安易にホルモンを注入することは危険です。膵臓の細胞がやられてしまって、全くインスリンが分泌していない患者さんにとっては必要ですが、まだインスリンが少なくてもある程度出ている場合にはやるべきではありません。」とご自身の著者で述べておられます。

糖尿病治療の注意点② 低血糖のこわさ!

 薬で、弱った膵臓にムチを打ち疲弊させてしまう

 薬でインスリンを無理やり増やすことで、体内の中性脂肪、過酸化脂質を増やしてしまう

 治療により低血糖を引き遅してしまう

 治療によって病気をつくってしまう

上記の糖尿病治療の問題点のうち、今回は③についてお伝えします。

糖尿病治療と低血糖 網膜症にとっても重要!

血糖値が高い人にとって、「低血糖」は縁が無いように思われるかもしれません。

ところが慢性的に血糖値が高く、血糖値を下げる治療をしている人ほど注意が必要です。薬やインスリン注射による治療を行っている患者さんでは、誰でも低血糖を起こしやすい危険性が高いのです。

高血糖のように、血糖が細胞内に取り込みきれない状態はもちろん問題です。しかし、ある一定量の糖が血液中を流れていないということも問題です。

血液中の糖が少ないと、身体は生命を維持するだけのエネルギーや体温、コレステロールなどをつくるブドウ糖を細胞に取り込むことが出来ないからです。

身体は常に生きていくために血糖をコントロールします。生きていくために、血糖レベルが下がりすぎると生命維持の危険を感知し脳が危険信号を出します。脳の危険サインを感知すると、身体は血糖値を上げるためにホルモンを分泌させます。

これで状態が改善されると良いのですが、十分に血糖レベルが上がらないと自覚症状を出します。例えば、脱力感や手のふるえ、めまい、動悸などです。この状態を放置すると、意識を失うこともあります。すぐに血糖値を上げるための処置が出来ればよいのですが、夜間寝ている間に低血糖を起こした場合は危険です。

患者さん本人はもちろん、周囲も気付かずにそのまま昏睡状態に陥ってしまう、死に至る可能性があります。こうなると網膜症や3大合併症どころではありません。

数値だけでは低血糖を見落とす!?

低血糖の問題を理解いただけたでしょうか。

血糖の数値的には基準値以内であっても、気を付けないといけない場合もあります。

一気にかつ大幅に血糖値が下がるような状態は、身体にとって低血糖になることと同じ意味を持ちます。急激な血糖値の低下は身体にとって大きな負担となるのです。

数値にこだわって血糖値を薬で無理やり下げることの危険を医師はよく理解しています。しかし、患者さんが「数値が全て」と思われていると、思わぬ危険を起こす可能性を理解いただきたいと思います。

私が外来診療で、患者さんに血糖値やへモグロビンA1c の値を尋ねると、「薬の飲んでいるから(インスリン注射をしているから)大丈夫。こないだ数値が高くなったから、内科で薬を増やしてもらって下がったよ。」と安心している患者さんがいかに多いことか・・・。

「薬」で「血糖数値」をコントロールしようという考えの危険性を、重ねて理解いただきたいと思います。薬はあくまで血糖をコントロールするための「補助手段」と考えてください。

本来、血糖値が高くなった食の原因を対応せずに薬に頼っていると、糖尿病網膜症をはじめ手痛いしっぺ返しを食らう可能性があります。食も、「カロリーコントロール」の考えはリスクをはらんでいることを再度強調したいと思います。

治療によって病気がつくられてしまう?

一般的に「糖尿病は治らない」、「一生付き合う病気(一生もの)」と思っている患者さんが多いでしょう。

これまでお伝えしたように、少々血糖値が高いことは問題の本質ではなく、すぐに投薬治療が必用とは思われません。

血糖値が高くなっている原因を探して対応すれば血糖値はおのずと下がります

この段階では比較的簡単に自己管理で「完治」可能です。

ところが数値にこだわりすぎて、急いで血糖値を下げようとすると、疲れた膵臓に薬でムチ打って無理にインスリンを出させることになります。

こういった「数値」のみを重視する治療を行うと、糖尿病そのものはもちろんですが、三大合併症出現を早めてしまう可能性が高ります。

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