専門医コラム

2018/01/09

糖尿病、治療によって病気がつくられる?

これまでにご説明した糖尿病治療における注意点を再度記載します。

 薬で、弱った膵臓にムチを打ち疲弊させてしまう

 薬でインスリンを無理やり増やすことで、体内の中性脂肪、過酸化脂質を増やしてしまう

 治療により低血糖を引き遅してしまう

 治療によって病気をつくってしまう

今回は④について説明致します。

治療によって病気がつくられる?

血糖値が高くなるには原因があります。

原因を放置して薬に頼ると、治療をしているつもりでむしろ病気をつくってしまう可能性があります。

血糖値は糖尿病だけで高値になるのではありません。

ストレスに対応しようとしたり、病的状態から回復しようとする際に、身体は血糖値を上げることがあります。この状態はもちろん糖尿病ではありません。

この時に間違えて薬で血糖値を下げてしまうと、身体の状態をよくするために血糖値を上げているにもかかわらず、病的状況の回復を妨げて今します。最悪の場合、本当の糖尿病になってしまうこともあり得るのです。

多くの医師はこうした点を理解しながらも、忙しい外来診療の中で患者さんの投薬の希望があれば薬を処方せざるをえない場合も多いことでしょう。

患者さん一人一人がご自身が糖尿病を治すために生活習慣改善が必要であることを理解していただけるまで、診療中に十分に医師が説明することは保険診療では事実上不可能です。

しかしながら、糖尿病を悪くしたい患者さんはいないはずです。

食習慣で糖尿病になったのですから、当然、食習慣を改善しなければ糖尿病は悪化します。食習慣を変えないまま薬に頼った治療をすると、一件血糖値は下がったように見えても、むしろ病気の本質としては悪化している可能性を理解いただけたでしょうか。

これは糖尿病に限ったことではありませんが、保険診療の治療は多くの場合「対症療法」のため、不快な症状を抑えることが主な薬剤投薬目的なのです。

治療で症状を抑えながら、「根治治療」を行うべきと考えます。

低血糖によって悪化する糖尿病網膜症、三大合併症

血糖が低いのに糖尿病網膜症や3大合併症が悪化する、そんな馬鹿な、と思われる方も多いでしょう。

糖尿病の薬物治療で起こされる低血糖が、最も危険な状態である点は前回お伝えしました。ここでお伝えしたいのは、正常で血糖が低めの方ではなく、糖尿病で薬物治療を行っていて低血糖になっている場合を意味していますので誤解なさらないでください。

治療による低血糖が糖尿病網膜症をはじめとした合併症増悪につながる理由をお伝えしたいと思います。

低血糖が続くと・・・

前回お伝えしたように、糖が血液中に必要量流れていないとなると、身体は危険信号と捉えます。低血糖状態が続くと命の危険が生じるからです。

そのため、血糖値を上げようとホルモンを出します。

血糖値を上げるためのホルモンは三つあります。

アドレナリン、ノルアドレナリン、ステロイドです。この3つを聞いてピンと来た方は、身体の仕組みをよく勉強されている方だと思います。

この3つはストレスにさらされたり、緊張状態になった時に出るホルモンです。身体が臨戦態勢になっている場合というとイメージしていただけるでしょうか? 身体はこれらのホルモンを分泌することで血糖値を上げようと必死になります。自律神経のうち、交感神経が優位になる緊張状態となるのです。

ストレスや緊張が頻繁に起こるとしたら・・・。身体に相当負担がかかることはイメージしてもらえるかと思います。「24時間働けますか?」という高度成長期時代の有名なキャッチコピーがあります。しかし、24時間働くということは相当な交感神経緊張状態で、とても我々の身体は耐えられませんよね!?

交感神経緊張状態の時に、身体の中で起こる事

交感神経と副交感神経の働きについては以下のコラムを参照ください。

例えば血管の働きは、以下のように正反対になります。

  • 交感神経・・・血管が収縮する(ちぢむ)
  • 副交感神経・・・血管が拡張する(ひろがる)

低血糖によって悪化する糖尿病網膜症、三大合併症②

前回お伝えしたように、交感神経緊張状態では、血管は収縮し血液は中枢に集められます。末端部分(末梢と呼びます)へはほとんど流れなくなります。

低血糖状態では、一番危険にさらされるのが身体で一番大切な臓器である「脳」なのです。血液で酸素やブドウ糖が届かなくなれば脳は死んでしまします。

そのため、交感神経緊張状態では身体は脳に優先して血液を送ろうとします。脳から下の臓器は生きていくためには後回しにされるのです。この反応は、脳より下の臓器はさらに低血糖の状態となることを意味します。身体の末端部分は優先順位の最後になってしまうのです。

長期間の血管収縮

後回しにされる末梢の血管は長い間収縮することになります。収縮していると血液は流れが悪くなり、「血の巡りが悪く」なります。血管そのものが障害されやすくなります。

その結果、末端の血管で特に細い血管が豊富な組織でエネルギーや酸素不足となるのです。

毛細血管が豊富な障害されやすい組織、はどこでしょうか? もうお分かりでしょう。目、腎臓、心臓から一番遠い手足です。すなわち3大合併症の起こる場所です。

薬物性低血糖、交感神経緊張状態が3大合併症の近道??

薬物治療をしている方は、薬の強い刺激によって高血糖から急激に低血糖になるリスクをはらんでいます。この低血糖状態を感知して、身体が急いで血糖値を上げるホルモンを分泌します。急いで過剰に分泌してしまい、今度は高血糖状態となる、という血糖の乱高下の悪循環に陥りやすいのです。振り回された身体は可哀想ですね・・・。これが最も大きなダメージとなり、繰り返していると当然3大合併症を助長することになります。

なぜ、糖尿病網膜症の話で、ここまで糖尿病コントロールの問題をお伝えしたかというと、糖尿病の管理を患者さんがしっかり理解されていないケースが多いからです。

「薬を増やして血糖下がっているから大丈夫!」と安心したかのように私の診察時に胸を張ってお話しされる患者さん!?   こうしたことをお伝えしたいのですが、忙しい外来診療中に十分なお話ができないのが現状です。

どのような病気でも、対症療法に留めず、原因治療を行うことが重要です。当然といえば当然です。しかしながら、意外と見落とされている盲点です。治せる病気も薬でその場しのぎの対応をすることで、治りにくくしていないか、見直してみることが大事なのです。

。。。。。。。。。。。。。。。

愛知、名古屋院ではスマホ診療を始めております! 予約方法はコチラ!

//////////////////////////////////////////////////

おぐり近視眼科・内科 名古屋院ホーム(愛知、名古屋、栄、錦3丁目、地下鉄2番出口すぐ) オンライン予約・相談

おぐりクリニック 長浜院ホーム (滋賀、長浜イオン西隣)オンライン予約

ページのトップへ