専門医コラム

2019/05/17

老化とテロメア、ミトコンドリア

今回はNATURE・オンライン版の以下のサイトから引用します。

老化の軸となるテロメア/ミトコンドリア

ミトコンドリアと、染色体の末端にある保護キャップのテロメアとの間に機能的な結びつきがあることが最近明らかになり、この両方が老化現象にかかわっているのではないかと考えられるようになった。今回、マウスの造血幹細胞と心臓、肝臓の組織のトランスクリプトーム(全mRNA)の分析が行われ、テロメアの機能異常と臓器の機能障害、またおそらくは加齢に伴う病気とを関連付けるテロメア–p53–PGC軸の存在が示された。テロメア機能異常のマウスでは、p53を介した細胞の増殖停止が起こるようになり、さらに、代謝過程やミトコンドリアでの生理過程の主要な調節因子であるPGC-1α、PGC-1βが抑制される。その結果、ミトコンドリア量が減少してミトコンドリア機能に異常が生じ、ATP生産の低下、糖新生の阻害、心筋症を引き起こし、活性酸素種が増加する。

テロメアとは?

テロメア、最近良く聞かれるようになっていますが、コチラに関しては以下のサイトから引用します。

生命の不思議“テロメア” 健康寿命はのばせる!

(クローズアップ現代 2017/5/16火)

 

 
 

 

健康長寿の鍵とされるのは、その端にある「テロメア」と呼ばれる部分です。

細胞分裂を繰り返すたびに短くなっていきます。

これが老化と深い関わりを持つと考えられてきました。

今、このテロメアの長さを伸ばして老化を遅らせ、がんなどの病も防ごうという研究が進んでいます。

テロメアを長くし、健康寿命をのばす、その秘策とは。

最新の研究成果を具体的にお伝えします。

 

 

 

 

老化・病気のカギを握る 命の回数券“テロメア”

 

 

人はなぜ老いるのか。

そして、若さを保つにはどうすればいいのか。

この問いに正面から向き合い、注目されている生物学の書籍があります。

今年(2017年)1月に出版された、テロメア研究の集大成。

大きな反響を呼び、20か国以上で出版が決まりました。

著者は、ノーベル賞受賞者のエリザベス・ブラックバーン博士。

第一人者として、1,000人を超す科学者たちの成果をまとめ、健康寿命はのばせるという最新研究の到達点を示しました。

 

ソーク研究所 エリザベス・ブラックバーン博士

「健康長寿を手に入れるための重要な要素。それはテロメアです。病気にかからず、生産的に人生を楽しめる年数に、テロメアという部分が関わっているのです。」

 

そのテロメアとは、一体何なのか。

私たちの体を形づくる37兆個の細胞。

生きているかぎり分裂し、入れ代わり続けています。

例えば、皮膚の細胞。

活発に分裂を繰り返し、若い細胞を生み出し続け、1、2か月で新たな表皮に入れ代わっています。

この細胞分裂に深く関わっているのが、細胞の染色体の端にあるテロメアです。

正体は、塩基という化学物質。

細胞が分裂するたびに少しずつ数が減り、テロメアは短くなっていきます。

生まれた時は、およそ1万5,000ほどとされますが、35歳でおよそ半分に減少。

6,000を下回ると染色体が不安定になり、さらに2,000になると細胞がこれ以上分裂できなくなる「細胞老化」と呼ばれる状態に陥ります。

テロメアが減ると新たな細胞ができなくなるため、命の回数券とも呼ばれています。

私たち一人一人のテロメアは、実際どれくらい減っているのか。

それを確かめるため、健康が気になるアラフィフの男女10人に集まってもらいました。

血液を採取し、白血球のテロメアを調べます。

広島大学が立ち上げたベンチャー企業が分析を行いました。

その結果は、同じアラフィフ同士でもテロメアの長さはばらばら。

35歳相当の長い人から83歳相当の短い人まで、大きな個人差が出ました。

 

(中略)

生命の不思議“テロメア” 健康寿命は のばせる!

 
ゲスト 石川冬木さん(京都大学大学院教授)
 

テロメアや老化について研究している、石川冬木さんです。

人はなぜ老いるのか、その謎を解く鍵がテロメアにある?

石川冬木さん:テロメアが短くなりますと、細胞はやらなければいけない仕事をさぼってしまいます。

ですから、例えば皮膚の細胞はコラーゲンを分泌して、皮膚に張りを作るわけですけれども、テロメアが短くなってしまいますとそれをしません。

ですから、だんだんとお年を取ると、皮膚がたるんで、しわが出来たりするわけです。

テロメアは、ストレスによって縮まって、さらには病気にも関係しているという報告があったが、これはどういうこと?

石川冬木さん:例えば、お酒をたくさん飲んだり、たばこをたくさん吸ったりすることを考えましょう。

たばこをたくさん吸われる方は、のどや肺の細胞のテロメアが短くなってしまいます。

本来やるべき仕事をしませんから、だんだんと息が苦しくなってきたり、あるいは、場合によっては肺がんが出来たりいたします。

ですから、テロメアの短小化はそういった恐ろしい病気につながると考えられています。

 

 

たばこやお酒が細胞にとってのストレスになると?
 

 

石川冬木さん:その通りです。

 
 

田中:テロメアに関する新たな研究成果が次々と報告されていますが、このきっかけとなったのが、ブラックバーン博士たちによる、ある発見です。

細胞の染色体の端にあるテロメアは、年を重ね、細胞分裂するたびに短くなっていく一方だとされていました。

その常識を覆したのが、ブラックバーン博士たちが発見した酵素「テロメラーゼ」です。

テロメラーゼは、テロメアが短くなるのを遅らせたり、さらに伸ばしたりする働きもあります。

これによって、細胞を若返らせる可能性が出てきたんです。

この発見で、ブラックバーン博士たちはノーベル賞を受賞。

そして今、どうすればテロメラーゼを増やし、テロメアを伸ばすことができるのか、研究が進んでいます。

 

(中略)

 
 

 

田中:実は今、テロメアは医療業界も注目していまして、大規模な調査も行われています。

アメリカでは医療保険の大手企業が、自社の保険加入者10万人を対象に、テロメアの長さを計測。

大規模なデータベースを作り、病気の予防に役立てることで、医療費削減などにつなげたいといいます。

また、健康食品業界でも、テロメア関連の商品が売り出されています。

テロメアを伸ばす酵素「テロメラーゼ」の分泌を体内で促すというサプリメントです。

30錠入りのタイプで、日本では1万2,000円ほどで売られています。

こうしたサプリをどう評価すればいいのか。

テロメラーゼの発見者であるブラックバーン博士に見解を聞きました。

 

 

 

 

サプリで“テロメア”はのびる?

 

 

ソーク研究所 エリザベス・ブラックバーン博士

「こうしたサプリには賛成できません。長期的に試用されていないからです。もう1つの理由は、テロメラーゼが過剰になると害があるからです。テロメラーゼは心臓病や認知症などの病気のリスクを低下させるのですが、残念ながら(過剰になると)逆に、特定のがんのリスクを高めてしまうのです。」

 

 

 

 

 

生命の不思議“テロメア” 健康寿命は のばせる!

 

このサプリについて、ブラックバーン博士は懸念を示しているが、単純にテロメラーゼを外から取ればいい、そして増やせばいいというわけでもない?

石川冬木さん:ブラックバーン博士がテロメラーゼを発見した後、もしかすると、これは何千年も人類が待ち望んでいた不老不死の薬かもしれないと、みんな騒ぎました。

しかし、それを確かめるために、マウスを使って背中にテロメラーゼを人工的にたくさん作らせますと、確かに皮膚は若返ったように見えるんですけれども、それと同時に、がんがたくさん出来るということが分かりました。

ですから、このように人工的にテロメラーゼを無理やり多くするというのは、やはりもろ刃の剣で、悪い副作用が出る可能性が高いと思います。

テロメラーゼがあり過ぎると、いろんな形の悪い染色体がたくさん出来ることが分かっておりまして、それが原因になります。

テロメアの研究、大規模な調査も行われるということだが、予防医学にはどんなインパクトがあると考える?

石川善樹さん:まず注意していただきたいのが、テロメアの長さで寿命が完全に決まるわけではないということですね。

今後、大規模調査が進んでいくと、例えばテロメアが短いんだけれども、長生きの人っていうのが分かってきます。

つまり、健康を決める要因というのは、100も200もあるわけでして、テロメアというのは、その指標の1つでしかないということは注意していただきたいと思います。

指標の1つでしかないということだが、この画期的な研究を私たちはどういうふうに受け止めればいい?

石川善樹さん:私たちは画期的な研究に弱いんですよ。

最新の情報が知りたいと。

特に健康に関しては、最新であるということは、裏返すと検証があまり進んでいないということですので、私たち研究者は、最新よりも最善の情報を見てくれというふうに言います。

例えば今回で言うと、運動、食事、そして、つながりですよね。

こういう昔から言われてはいるんですけれども、同時に検証も済んでいること、こういう基本を大事にするということが、やはり大事だというふうに考えられます。

最新の情報ではあるんだけれども、取るべき行動は、分かっている中の最善の行動ということなんですね。

テロメア、なかなか分かってないこともまだ多く、その研究が始まったばかり 私たちはこのテロメアとどういうふうにつきあっていけばいい?

石川冬木さん:テロメアの測定を何回も繰り返して、それに一喜一憂する必要はないと思います。

ただし一方、例えばたばこののみ過ぎが良くないってよくいいますけど、何でなのかなって皆さん分かってないんじゃないでしょうか。

そういった意味で、たばこをのまれるとテロメアが少しずつ短くなる、あるいは命の回数券のむだづかいをしているというふうに考えますと、今まで5杯のんでたのを3杯にするとか、少しずつ生活習慣を改善することにつながるのではないかというふうに思います。

 

』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』

 

以上、引用が長くなりましたが、以下に要点をまとめます。

 

① ミトコンドリアと、染色体の末端にある保護キャップのテロメアとの間に機能的な結びつきがあり、この両方が老化現象にかかわっている可能性が高い

 

② 健康長寿の鍵とされる「テロメア」は細胞分裂を繰り返すたびに短くなる

 

③ テロメアの長さを伸ばして老化を遅らせ病気も防ごうという研究が進んでいる

 

④ 人工的にサプリメント等でテロメラーゼを無理やり多くすると悪い副作用が出る可能性が高い

 

⑤ 健康に関しては、最新であるということは、裏返すと検証があまり進んでいないということ

 

どうしても我々は「最新」といわれると、その情報に振り回される傾向です。

 

テロメアに関して、小栗は以下のように考えています。

 

テロメアの長さが短くなることがが我々の健康寿命や病気の発症に関係している点は、ほぼ間違いないだろうと考えます。しかしテロメアの長さが短くなるからと言って、「人工的」に無理やり長くすることは我々生命体の本質に逆らうことになり、別の病気を生み出すことになりそうです。

 

化学的に作られた薬やサプリメントの負の効果は、以前から指摘され続けています。

 

地球が生み出した天然素材をうまく活用しての治療、あるいは問題を起こした原因対応を考えるべきだと思います。

 

テロメアを伸ばす酵素「テロメラーゼ」の分泌を体内で人工サプリメントで刺激して増やすのではなく、テロメラーゼが減っていく原因を考えることが必要でしょう。

 

テロメアとミトコンドリアが密接な関係がある事が今回の記事に出ていました。どちらも出来るだけ、「本来の自然な状態」から外れる原因の対応をお勧めします。

 

日常的な問題として、日本は世界最大の「食品添加物」、「化学物質」摂取国です。多くの方は気付いていませんが、例えば以下の過去のコラムをご参照ください。

 

野菜や果物、農薬や添加物の対策!

 

 

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