専門医コラム
2014/02/06
レーシックの適応(限界)
レーシックの適応(限界)
世界初のレーシックは1990年にギリシャで行われました。1995年にアメリカ食品医薬品局がエキシマレーザーの使用認可を出し、アメリカでは1998年以降レーシックが屈折矯正手術の主流となりました。日本では、2000年1月に厚生省(現・厚生労働省)がエキシマレーザーの使用認可を出してから受けられるようになっています。歴史が浅いため、長期に渡る安全性が実証されていないと言われていますが、2009年、アメリカの医学誌「Archives of Ophthalmology(眼科学)」11月号にて近視に対するレーザー手術は長期的に見ても安全であるという研究結果が発表されています。
私自身はどれだけの角膜を「削る」かが、合併症の発症に強く関連していると考えており、近視の強い方にはレーシックは勧めておりません。オルソケラトロジーの適応となる近視の強さ位がレーシックの安全な適応だと考えております。
その理由ですが、角膜の中心部の厚さは約500μm(1/2 mm)ですが、みなさんは自分の角膜が削られるとしたらどこまでが安全範囲と考えるでしょうか? 仮に20代の方が、太腿の筋肉を手術で取られるとした場合、30%を切除されて、「残りの70%の筋肉で残りの人生を過ごしてください。」と言われたらどう感じられるでしょうか?
現在のレーシックの適応の限界は、角膜の約30%(150μm)まで削ってよいとされています。・・・これをどのようにとらえるかが術者の考える手術の「適応範囲」となります。
レーシックは処置のほとんどを器械が行う手術です。執刀医師が行おうと思えば角膜を削る術量をいくらでも設定できます。もちろん、角膜の厚み以上を削ることはできませんが!? 他の医師が適応外としても「私なら手術できます。」と医師の裁量でレーシック手術は可能なのです。レーシックの適応限界は執刀する医師が患者さんの将来を考えて決定しています。20〜30代の比較的若い方が受ける手術ですので、50年以上先までの患者さんの将来を考えます。
近視の強い方は無理にレーシックにこだわらず、眼内コンタクトレンズ(フェイキックIOL)を選択される方が安全だと考えます。