専門医コラム

2015/02/09

近視の種類と高額な視力回復トレーニングセンター

①軸性近視(本当の近視)→治らない近視です

②屈折性近視(仮性近視、他)→治る近視です

軸性近視

軸性近視は一般に言われている近視のことです。普通、近視といえば軸性近視の事を言います。

軸性近視とは眼軸といわれる眼の縦軸が伸びてしまって長くなった状態の近視のことです。

眼の一番底にある網膜(カメラのフィルム)が後にずれているため遠くのものが網膜(カメラのフイルム)に写らなくなってしまうため遠くのものが見えなくなるのです。

この状態になると「屈折値(近視の強さを示し、近視をゼロにするためのメガネの度数に相当します)」はトレーニングや薬では回復しないとされています。しかし、一定の訓練で「視力の質」を挙げることは可能です。その方法は別のコラムで紹介します。

屈折性近視

屈折性近視とは眼球の前方にある水晶体と言われる凸レンズの変化です。近くを見るときはこの凸レンズが大きくふくらむことで近くにピントが合います。

近くを見続ける事で水晶体がふくらんだままになってしまうと(緊張状態)遠くのものが見えなくなります。

ただし屈折性近視は水晶体のふくらんだままになっている(緊張状態)のは一時的なもので、やがて元に戻ります。

緊張がとければまた視力は回復します。この水晶体のふくらんだままになった状態を治す薬がミドリン、サンドールといった目薬なのです。

したがって軸性近視は眼の縦軸、すなわち目の奥行きが長くなった為に起こる近視なので一度長くなった奥行きが短くすることは難しいのです。

レーシックは瞳(角膜)を削って近視をなおしますが目の奥行きは長いままです。

一方屈折性近視は水晶体が一時的にふくらんだままになったために起こる近視なので、水晶体が元にもどれば近視がなおります。

よく視力回復センターや視力回復法でなおった!!といっているのは多くが屈折性近視の患者さんです。

視力回復トレーニングでは効果のない場合

視力回復法や視力回復センターでは屈折性近視と軸性近視の区別なく治療しています。彼らは軸性近視が治らないことを知っています。

軸性近視か屈折性近視か、医療機関でなければ調べられないため、わざと同一視して区別なく治療します。

結果、もともと比較的簡単に視力回復できる(目薬で回復します)屈折性近視の治った人だけを宣伝に使い患者さんを集めている可能性が高いと考えられます。

軸性近視で、回復法や回復センターでは治らない患者さんは当然宣伝には採用されないと思われます。

屈折性近視か軸性近視かを調べるのは眼科で目の奥行き(眼軸)を計る検査をしなければわかりません。私の20数年の眼科医としての経験では回復法や回復センターで軸性近視が治る、あるいは軽くなるという経験は残念ながら一例もありません…。

正しい近視の治し方

軸性近視の悪化を成長期に抑制することは、後で述べるように成長期の適切な生活習慣や対応で可能と考えますが、私の知る限り2013年現在の段階では一度長くなった眼球を元に戻す安全性の高い有効な方法は発見されておりません。

そのため、近視の状態が軸性なのか屈折性なのかを確認してから回復センターに行かないと数百円の点眼薬と同等程度のトレーニングに何万円(時には数十万円程もする回復センターもあるようですが)も負担することになる可能性が高いのでご注意ください。

トレーニングが全く無効と言っているのではありません。「視力の質」を挙げる意味ではトレーニングすることをお勧めします。しかし、そうしたトレーニングは比較的廉価で、眼科を受診してトレーニングメガネ(別コラムで案内します)を購入しても数千円で可能です。

トレーニングを否定しているのではありません。対費用効果を考えて私はリーズナブルな対応をお勧めしますので、皆様の是非参考にしていただければ幸いです。

HongKongOptical

 

香港オプティカルフェア

スタッフと一緒に目にかかわる機器の研修に行きました

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