専門医コラム
2015/02/09
消費者庁によるレーシック手術に注意呼びかけ
消費者庁によるレーシック手術に注意呼びかけ ~レーシックが不安な方の視力回復法
2013年12月5日のNHKニュースで「レーシック手術後4割余りの患者さんが不具合を訴えた」という内容の報道がありました。(現在NHKの記事は削除されています)
どのような集計方法を取ったのかはわかりませんが、「4割」という数字の内容が詳しくわかりません。諸外国のレーシック手術データと比較して、明らかに「4割」という数字は大きいように思われます。
術後一過性で数日から数週間で解消する後遺症とならない問題も含めて、過剰に反応している可能性があります。そもそもそれ程問題が大きいのであれば、医療機器として認可した厚生労働省の責任問題にもなりかねません。
しかし、どのような手術にも利点と欠点があることは事実です。利点が欠点を大きく上回る場合に手術適応として患者さんに手術を受けるかどうかを最終判断していただきます。
レーシック手術で報道のような多数の問題が生じたということであれば、一番考えられるのは角膜を過剰に切除した可能性です。近視が強い人ほど、近視を減らすためにはレーシック手術では角膜の切除量が大きくなります。たくさん削れば、角膜がより薄くなるわけですから合併症の危険性も増える、この点は容易に理解してもらえると思います。
そのため当院では近視の強い方はレーシック適応外としています。日本のガイドラインではー6ジオプターまでをレーシックの適応基準と規定しています。場合によっては、それより軽い近視-3~-4ジオプター(裸眼視力0.1弱くらいの方が多い)であっても角膜が薄かったり形状の不整があるなど、問題が認められるとレーシックをお勧めできない場合もあります。
レーシックで角膜を一度削ると元には戻せないため、適応外の近視の方には、角膜を削らない「眼内コンタクトレンズ手術(フェイキックIOL)」が安全と考えられます。特殊なコンタクトレンズを眼内に移植するだけですので、何か問題が生じた場合はレンズを取り出せば元の状態に戻すことが可能です。
またレーシックの適応である-6ジオプター以内の近視の方ですと、オルソケラトロジーで良好な裸眼視力が得られる場合も多いです。
レーシックは不安だが、裸眼視力を回復したい方には、
「元にも戻せる眼内コンタクトレンズ手術」
「寝るだけ視力回復(オルソケラトロジー)」
の検討をお勧め致します。