専門医コラム
2015/04/12
「目に良い」「肌を整える」=届け出だけで効能表示-第3の保健機能食品スタート
食品の健康への効能を、事業者の責任で表示できる新たな食品表示制度が来月1日に始まります。「特定保健用食品(トクホ)」「栄養機能食品」に続く第3の保健機能食品「機能性表示食品」は販売60日前までに国に届け出るだけで表示可能になるのです。既に準備を進めている事業者もあり、早ければ6月にも、店頭に並ぶ可能性があります。
新制度では、事業者は、学術論文などの科学的根拠を国に届け出れば、体の特定部位を挙げて効能を表示できます。消費者庁によると、「目の健康維持に役立つ」「肌を整える」などが考えられるとのこと。
現行のトクホは国の事前審査があり、事業者は、臨床試験で安全性や有効性を確認することが求められる。栄養機能食品は、ナイアシンやカルシウムなど、17種類の限られたビタミン類やミネラル類を成分に含む食品だけが対象で、「ビタミンB12は赤血球の形成を助ける栄養素です」などと、表示できる文言も限られています。。
これに対し、機能性表示食品では、必ずしも臨床試験は必要なく審査に数年かかることもあったトクホと異なり、届け出から最短60日で表示可能で、中小企業でも利用しやすい。栄養機能食品に課された含有成分に関する制約もないのです。
「手にした商品が体にどのような効果があるのか、分かりやすくなる」。販売を検討している食品メーカーの担当者は「消費者側のメリット」を強調するが、消費者団体からは「根拠の不確かな商品が出回る恐れがある」との懸念も出ています。
日本消費者連盟(東京都新宿区)は「機能性表示食品は、企業の任意で表示できる。トクホのような審査がなく、どこまで信用できるか分からない」と指摘します。
消費者庁は、事業者が届け出た学術論文などをホームページで公開するほか、商品の抜き打ち検査で信頼性を担保したい考えだが、「『これを食べれば健康になる』との誤解から、そればかりを摂取するような弊害が生じかねません。結局、消費者が冷静な目で判断する以外にないのです。
表示に惑わされず、何が自分に必要なのかを考え取捨選択が必要ですね。