専門医コラム

2015/05/09

ドライアイ評価、医師と患者で格差大

悩む女の子

レーシック手術後、ドライアイが年々強くなり眼精疲労に悩む方は大勢います。

屈折矯正手術ガイドラインを超える近視の強い患者さんにレーシックを行うと、ドライアイの増悪が生じる場合が増えるのですが、ガイドライン内の近視のレベルであればレーシック手術自体で「ドライアイになる」ということは殆どありません。

元々ドライアイになっていても若いうちは自覚が少なかった方が、加齢とともにドライアイ自覚が強くなるケースが多いのです。

ドライアイをはじめとした将来の様々な問題を起こさないために、私は強度近視の方にはレーシックより眼内コンタクトレンズ手術をお勧めしています

眼内コンタクトレンズ手術はこちらを参照ください。 ⇒  http://ogurikinshi.com/nagoya/ophthalmology/iol

ドライアイは残念ながら年々日本で増加しています。

ところが、ドライアイの治療に対する「満足度」に医師と患者さんの実感とが乖離しているという医学研究が報告されました。双方の利用効果判定に食い違いが大きいということは、臨床現場での大きな問題、患者さんの医療不信につながる一因とも考えられます。

この研究報告はこちらを参照下さい ⇒ 【英語の原文】

http://journals.lww.com/corneajrnl/Abstract/2015/05000/Concordance_Between_Patient_and_Clinician.3.aspx

この結果の要旨は、ドライアイの患者466人を対象に、症状への評価の差を横断的研究で検討したところ、次のような結果でした。医師は患者の重症度レベルをスコア―化して 1、2が88.3%、3が9.0%、4が2.7%と診断。患者は、症状の正常/軽度が44.9%、中等度17.1%、重度38.0%と報告。人工涙液治療後の症状改善は、医師は88.0%、患者は34.6%と評価に大きな差があったとのことです。

医学的重症度判定と、患者さんの自覚的重症度の差!  患者さんは医師が診断するより自分の症状を「重症」と捉えているようです。肝心の治療効果も、医師は9割近くが症状改善と捉えているのに対し、患者さんは約3人に1人しか「症状が良くなった」を自覚していないのです。

医学的判定と、患者さん本人の自覚的改善度の差、双方の食い違いが起こる理由は何故でしょう? ドライアイの場合は、医師は点眼薬で「涙が増えた」から改善した、と判断していると考えられます。ところが点眼液は「人間の涙」とは全く別物です。患者さんは、「人工」ではなく「天然」の涙が増えないと、「改善」を自覚できないと考えられます

おそらく今後50年は「天然」の涙を超える「目薬」は出来ないと思います。

以前のコラムで「天然」の自分の涙が増えた治療をご紹介しました。血液を良くすれば涙も改善したのです。 ⇒ ./?mnu=0211&IDX=85

 

 

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