専門医コラム

2015/06/01

眠れない理由…そこは「睡眠禁止ゾーン」!?

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 「睡眠禁止ゾーン」・・・なじみのない表現ですね。

睡眠禁止といっても眠ってはいけないという意味ではなく、眠ろうとしてもなかなか眠りに入りにくい、という意味です。ゾーンとは、生理的に眠りにくい特定の時間帯をさします。

1日の中でどの時間帯に一番目がさえているか、頭がすっきりしているでしょうか?

おそらく個人差があります。・・・私は、一日中眠いのですが(笑)、これは単なる睡眠不足ですね。 通勤電車の中で気持ちよく寝てしまう経験ありませんか? ランチを食べてからの昼すぎの会議で名向くなる方は多いですね。当院の午後のカンファレンスでも時々眠っているスタッフが!! ですが、多くの場合、仕事が終わってからのレジャーやアフターファイブは眠さも忘れて(?)楽しめます。

眠気の強さは日々の生活の中で容易に変動することは多くの方が経験済でしょう。

これは疲労度や睡眠不足度が日によって大きく異なるからです。

加えてストレス、仕事、運動、食事、喫煙、カフェイン、アルコール摂取などによって眠気(眠りにくさ)は刻々と変動します。

ところが、このような生活要因をできるだけ排除した特殊な方法で眠気を測定すると、1日を通じた眠気の強さにはある特徴的な変動パターンがあることが見つかるのです。

「睡眠禁止ゾーン」

イスラエルの研究者がある方法で測定した1日の眠気の変動図を以下にご紹介します。

このデータを良く読むと、人の睡眠調節の巧妙なメカニズムが見えて来ます。私たちが効率よく活動できるように眠気は実にうまくコントロールされているのです。

睡眠禁止ゾーン グラフ

(Webナショジオ 2015年4月2日付の記事より)

「7/13分超短時間睡眠覚醒パラダイム」で測定した眠気のリズム。各ブロック内に設けられた7分間の睡眠タイムで眠りに落ちる頻度(確率)から眠気の強さを見える化(青線)。眠気の強さには24時間周期の日内変動だけではなく、1.5時間周期(点線)や12時間周期のリズムがあると推測されている。紫のゾーンはそれらの眠気のリズムも加味した眠気の変動幅である。20~22時前後の睡眠禁止ゾーンを過ぎると急速に眠気が強まり、これを「sleep gate が開く」と表現することもある。

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日中には活動時間に比例して疲労が蓄積します。

疲労を解消するのが睡眠の大きな役割の1つですね。したがって朝起きてから昼、夕、夜と時間がたつにつれて眠気が強くなると思われます。

ところが現実はそのようにはなりません。

仕事にせよ学業にせよ、日中の就業時間を通して私たちはパフォーマンスをほぼ一定に維持することができます。必要があれば夕方以降も眠気に悩まされることなく残業や宿題をこなすことができます。

もちろん眠くなることもあるのですが、これを可能にしているのが蓄積した疲労(眠気)に拮抗する覚醒力です。

先の研究の結果を見て下さい。

確かに朝から夕方(16時頃)に向けて眠気は徐々に高まっていきますが、そのときの眠気は普段の就床時刻(24時頃)での眠気に比べれば軽度にとどまっています。

その後も眠気が強まると思いきや、むしろアフターファイブには眠気が低下する逆行現象が見られます。

特に就寝時刻の2~4時間前(20~22時頃)は1日の中でも脳波上最も眠りに入りにくい時間帯であり、これが「睡眠禁止ゾーン」なのです。

もしも睡眠禁止ゾーンがなかったら

眠気に拮抗する覚醒力がなければ昼頃にはすでに疲労感や眠気に悩まされ、夕方には疲労困ぱい状態となるサラリーマンが続出するでしょう。

アフターファイブなんてもってのほか、かと思いきや睡眠禁止ゾーンのおかげで街には昼間以上に元気なサラリーマンやOL、学生諸君が闊歩(かっぽ)しています。

古いですが、「5時から男!」という言葉がはやったこともあります。

睡眠禁止ゾーン以降の展開は急激で、普段の就床時刻の1、2時間前になってから夜間睡眠に直結する強い眠気が一気に出現します。

ほかにも、この時期には血圧や心拍数の低下、催眠作用のあるメラトニンの分泌開始、覚醒作用のある副腎皮質ホルモンの減少など眠るための準備作業が連動して生じます。

睡眠禁止ゾーンを維持している「覚醒力」の源は生物時計(視床下部にある視交叉上核)です。

実験的に生物時計を壊した動物では睡眠リズムが不規則になるだけではなく1日の総睡眠時間が増加します。同様の現象は視交叉上核の変性が生じる認知症などでも認められます。

実はこの睡眠禁止ゾーン、不眠症や認知症の患者さん、施設や病院に入院中の人々、発達障害の子供たちなど多くの人々で睡眠問題を悪化させるトラップになっています。

睡眠禁止ゾーンの存在を念頭におけば不眠症状の泥沼から抜け出せることも少なくないのです。

こうしたことを知っておくと、少しの工夫で、睡眠障害のお悩みが改善出来そうですね。

良い睡眠を取って、免疫力を高める事がアンチエイジングや眼疾患の予防に繋がると考えます。

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