専門医コラム

2015/06/10

子どもの将来の近視は予測できる(米オハイオ州立大学の研究報告)

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米国成人の3分の1は近視

高度の近視の子どもだけではなく、低遠視の子どもが、将来的には近視になるリスクが大きいことが研究報告されました。そうであるとすると、あらかじめ検査することで、将来の近視進行のリスクが予想出来るかもしれません。

米オハイオ州立大学検眼学部を中心とした研究グループが、ジャマ(JAMA)オフサロモロジー誌で2015年4月2日に報告しました。

Zadnik K et al. Prediction of Juvenile-Onset Myopia. JAMA Ophthalmol. 2015 Apr 2. [Epub ahead of print]

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25837970

近視は子ども時代に発症して、米国では成人の約3分の1で認められています。日本ですともっと多いと言う報告がありますが、近視で悩む人数の多さは両国ともに問題です。近視になるとめがねの購入、iOK®などの視力回復治療、あるいは手術を行う場合等、視力矯正に費用がかかります。さらには将来の緑内障や網膜剝離などの眼疾患の発症率が高くなることも知られています。

近視が強くなればなるほど、将来失明疾患発症率が上がると言う事です。

今回の報告では、1989年9月1日から2010年5月22日まで5つの臨床現場で調査を実施し、人種的に多様で近視を発症していない学齢期の6歳から13歳の子ども4512人から眼球の発達と近視発症に関するデータを収集し、さらに近視発症の予測に関して、考えられ得る危険因子を13項目想定して確度のたかいものを絞り込みました。

屈折異常の測定を!

検証の結果、視力の調査を始めた時点での低遠視性あるいは高近視性の屈折異常があるときに、一貫してその後の近視発症のリスクが高くなることが分かりました。こうした屈折異常の有無は眼科検査で発見可能です。

一方で、精密作業、屋外で過ごす時間、親の近視などは近視の発症とは関連していませんでした。遺伝の影響は少ないと考えられます。

近視性の異常だけではなく、遠視性の異常も関係するのは注目に値します!

この屈折異常は学校の視力検診では見落とされている事が多く、子どもさんが視力の異常を訴えなくても、年に一回は眼科での視力検診をお勧めします。学校で視力『A判定』を貰っていても、実は本当の視力は悪くなっている子どもさんは多いのです。眼科での精密検査では視力が0.5以下になっている方が意外と多くいます。『A判定』は参考とお考え下さい。

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