専門医コラム
2015/06/19
子どもの肥満、日本も「欧米化」と「格差」で要注意!
子どもの肥満、高所得層は減少、低所得層は引き続き増加
米国教育省の国立教育統計センター(NCES)の調査によると、子どもの肥満は増加が続いているとのこと。背景には経済格差もあるとのことで、日本でも注意が必要かもしれません。
良く言われる事ですが、高所得層は手のかかったヘルシーな食事をとるのに対し、低所得層では廉価な食べ放題のレストランや、ハンバーガーチェーン店に代表される安いファーストフードでの食事が多いことが影響している可能性も。こうしたレストランやファーストフードでは以前ご紹介した『加工食品』の割合が多くなりその問題も懸念されます。
米国南カリフォルニア大学とカリフォルニア大学ロサンゼルス校の研究グループが、有力医学誌の小児科版、ジャマ(JAMA)ペディアトリクス誌のオンライン版で2015年5月18日に報告しました。
Datar A, Chung PJ. Changes in Socioeconomic, Racial/Ethnic, and Sex Disparities in Childhood Obesity at School Entry in the United States. JAMA Pediatr. 2015 May 18. [Epub ahead of print]
http://archpedi.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=2293167
幼稚園児の調査を分析
米国疾病対策センター(CDC)の2014年の調査によると、米国の全体的な子どもの肥満率は横ばいになったという結果でした。今回、研究グループは、子どもが生まれてから幼稚園に入るまで追跡した国立教育統計センターの2回の研究を分析しました。
収入が低~中の家庭の幼稚園児では、10年間にわたり肥満率が20%増加していました。
1回目の研究で1998~99年に行われた幼稚園児の調査では肥満率は11.6%でしたが、2回目の研究で2009~10年に行われた調査では13.9%に増加していました。
裕福な子の子は肥満解消
同時に、最も裕福な家庭の子どもの肥満率は、1999~2010年の間に2.4%減少していました。
米国疾病対策センターと国立教育統計センターの調査結果の違いについて、研究グループは、対象の数と内訳次第で結果に大きな差が出ていると指摘。
国立教育統計センターの調査は1万5000人以上の幼稚園児を対象としたが、米国疾病対策センターの調査は5000人と少ない上に、年齢も新生児から成人まで多岐にわたっていました。
子どもの肥満率が横ばいという米国疾病対策センターの調査結果は、年齢、性別、民族/人種、社会経済的階層が及ぼす影響を過小評価していると注意を促しています。
米国の実態として、経済格差が子どもの肥満と関係しているとすると、日本でも欧米化と(アベノミクスで!??)格差は進んでいると指摘されるだけに注意も必要かもしれません。