専門医コラム

2015/07/21

年齢とともに目が見えにくくなる「加齢黄斑変性」、失明を防ぐための最新治療

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加齢黄斑変性による失明を防ぐ!

加齢黄斑変性という目の病気をご存知でしょうか?

目の網膜の黄斑〈おうはん〉というところが痛んで、見えにくくなる病気です。物がゆがんで見えたり、暗く見えたりすることで気がつく事が多いのです。

世界では失明の原因の第1位になりつつあります。当院では早期発見目的で名古屋院、長浜院ともに、最新型のOCT という診断機器を用いて保険診療での検査を行っております。

今後、日本でも増加する事が懸念されており、現在の最新の研究についてご紹介します。

加齢黄斑変性の早期発見の目印?

加齢黄斑変性は網膜色素上皮の下に老廃物が沈着して起こると考えられてきました。

網膜色素上皮と脈絡膜の間にハイドロキシアパタイトが出てくることが原因となって沈着物を作ることが分かってきました。

Thompson RB et al.Identification of hydroxyapatite spherules provides new insight into subretinal pigment epithelial deposit formation in the aging eye.Proc Natl Acad Sci U S A. 2015 Jan 20.[Epub ahead of print]

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25605911

ハイドロキシアパタイトの有無が早期診断の指標となる可能性があります。

ES細胞やiPS細胞での角膜移植は

加齢黄斑変性が進むと、網膜移植も選択肢となるのでしょうか?

米国研究グループが昨年の10月に報告したところによれば、目の網膜が機能しなくなっていく病気である「スタルガルト黄斑ジストロフィー」「萎縮型加齢黄斑変性」の人を対象として、ES細胞から作られた「網膜色素上皮」の網膜への移植が実施されました。

Schwartz SD et al. Human embryonic stem cell-derived retinal pigment epithelium in patients with age-related macular degeneration and Stargardt’s macular dystrophy: follow-up of two open-label phase 1/2 studies The Lancet. 2014 Oct 15.[Epub ahead of print]

http://download.thelancet.com/flatcontentassets/pdfs/S0140673614613763.pdf

その結果、移植組織に関連する安全性の問題は認めれませんでした

日本ではiPS細胞を使って同様な治療が進んでいて、昨年話題になりましたね。

http://www.kobe-np.co.jp/news/iryou/201504/0007883501.shtml

今後、幹細胞を使った研究がさらに進展しそうです。

点眼の1万分の1の量をピンポイントで投与する技術

薬をピンポイントに投与するような技術が登場しています。目薬だと薬が過剰になって無駄も生じやすいため、技術としては有望です。

マイクロニードル」という新技術が、目の治療に、効果とコストと両方の面で優れていると考えられます。

Kim YC et al. Intrastromal delivery of bevacizumab using microneedles to treat corneal neovascularization. Invest Ophthalmol Vis Sci. 2014; 55: 7376-7386.

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25212779

米国の研究グループは、ウサギの目にマイクロニードルを使って加齢黄斑変性に使われる薬を投与した結果、より効果的で、薬も大幅に節約できると報告しています。

最先端のコンタクトレンズで

超小型の望遠鏡を内蔵し、視力を上げると同時に、瞬きを利用してものを拡大および縮小することが可能なコンタクトレンズの開発が進んでいます。

スイスの研究グループが、2015年米国科学振興協会(AAAS)の年次総会で報告しました。

改良が進めば、加齢黄斑症などの視覚障害に悩む人には大いに役立つコンタクトレンズになる可能性があります。

Telescopic contact lenses and wink-control glasses

http://aaas.epfl.ch/

ターミネーターを連想しますが!?

魚の油は失明を防ぐ効果が

2015年1月、米国の研究グループは魚の油に含まれている「ドコサヘキサエン酸(DHA)」が脳のダメージを抑え込み、視力低下や脳の血管が詰まる脳梗塞に効果を発揮すると見られると報告しています。

LSU HEALTH NEW ORLEANS MAKES DISCOVERY KEY TO PREVENTING BLINDNESS AND STROKE DEVASTATION.LSU Medicine News.2015 Jan 30?

http://www.medschool.lsuhsc.edu/news/

Calandria JM et al.NPD1-mediated stereoselective regulation of BIRC3 expression through cREL is decisive for neural cell survival.Cell Death Differ.2015 Jan 30 [Epub ahead of print]

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25633199

細胞死に関わる2つの遺伝子に働きかけて、ダメージを抑え込むというメカニズムまで解明されている。加齢による視力喪失、脳梗塞からの回復を助ける薬への可能性が開けるかもしれないですね。

魚の油は、頭を良くするなどと言われることもありますが、目にとっても良い成分だったということなのでしょう!

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