専門医コラム
2015/07/22
全身の疾患が眼に現れることは明確、眼を診るのは診断の第一歩!
雨が多いのですが、すっかり夏らしくなってきましたね!
夏休みシーズンですが、日頃忙しいお父さん、お母さん世代の方に以下参考にしていただきたいと思います。
私の岐阜大学病院時代の先輩で、現、東邦大学医療センター大橋病院眼科診療部教授の富田剛司先生が
「全身の疾患が眼に現れることは明確 眼を診るのは診断の第一歩である」
と述べています。
https://www.carenet.com/conference/qa/ophthal/mt110314/index.html
富田教授は日本緑内障学会の理事で、緑内障専門医として高名な眼科医です。私も医学博士研究テーマは緑内障を専攻していました。もう20年以上も前の事ですが、富田教授とは深夜まで動物実験をともにしていた事が、良き思い出として昨日のようにも感じます。時々、夜食をごちそうしていただいてもいました!?(改めて、”ごちそうさまでした!!”)
その富田教授の言葉を以下に引用します。
『たとえば眼底出血の場合、網膜の浅い部分からの出血であれば、視神経の疾患を疑うか、高血圧症や動脈硬化症などの疾患も考えられます。また、深い層からの出血であれば糖尿病や貧血、白血病などが疑われます。このように全身疾患が眼に現れることは明確です。さらに、がんの転移が眼に現れてわかる場合もあります。「眼が見え難くなった」という症状を訴えて来診した患者さんの場合、(中略)内科系の検査をしたところ、がんが発見された例がありました。また、自覚症状はなく、健康診断ということで視野検査をしたところ異常がみつかりましたが、それは眼の異常でないことは明白で、結果、脳腫瘍が発見された例もありました。(中略)このようなケースがままあるので、眼科学会としては40歳を過ぎたら年に一度は眼の検診を受けてほしい旨を推奨しています。
「眼は心の窓」といいますが、極端にいえば病態を知るための身体の窓でもあるのです。』
人間ドックや、健康診断で見つからない事が、ほんの30分程度の視力に始まる眼科検診で、全身の病気が見つかる事が少なくありません。目の症状によっては当院では積極的に血液検査を始めとした全身検査も行っておりますので、富田教授の言われるように40歳を過ぎたら年に一度は眼科へ ”視力検査” を受けにきていただけると成人病の早期発見にも繋がると思います!