専門医コラム
2015/07/29
高血圧に重要なのは塩分よりカリウム! 2万人以上の検証結果から判明
塩分過多ではなくカリウム不足が高血圧の原因か!
ナトリウムを取る量が多くても少なくても、カリウムを取る量が少ないと高血圧になりやすいという報告がされました。
塩分が悪役扱いされていますが、誤解であった可能性が!?
韓国の翰林大学校医科大学を含む研究グループが、栄養学と食事療法の専門誌ジャーナル・オブ・ジ・アカデミー・オブ・ニュートリション・アンド・ダイエテティクスのオンライン版で2015年7月1日に報告しました。
Noh HM et al. Association between High Blood Pressure and Intakes of Sodium and Potassium among Korean Adults: Korean National Health and Nutrition Examination Survey, 2007-2012. J Acad Nutr Diet. 2015 Jun 27. [Epub ahead of print]
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26129945
2万4000人のデータ
ナトリウムは高血圧につながるとして、食塩を減らす動きは世界的に広がっています。カリウムも最近では、病気を減らす効果が注目されていました (http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25948665)。
今回の研究では韓国の全国健康栄養調査の第4回と第5回(2007~12年)のデータから、血圧を下げる薬を服用していない19歳以上の2万4000人を対象として、過去24時間に食べたものを思い出す方法で、ナトリウムとカリウムを取る量と血圧との関連性を調べました。
ナトリウムとカリウムを取る量で4つのグループに分け、低ナトリウム/高カリウムのグループを基準としました。収縮期血圧、いわゆる上の血圧が140mmHgまたは拡張期血圧、下の血圧が90mmHg以上を高血圧と規定しました。
塩分の多少によらない
その結果、ナトリウムを取る量が多いと拡張期血圧が高くなり、1キロカロリー当たりの重量で1mg増えるごとに0.21mmHg増えると判明。
対照的に、カリウムを取る量が多いと収縮期血圧が低くなり、1キロカロリー当たりの重量で1mg増えるごとに1.01mmHg減少するという結果でした。
影響を及ぼす要素について調整すると、高ナトリウム/低カリウムのグループと低ナトリウム/低カリウムのグループは、基準グループより高血圧のリスクが約20%高いと分かりました。
ナトリウムの高低によらずカリウムが問題だとの結果です。
ナトリウムの悪影響を相殺
しかも、高ナトリウム/高カリウムのグループの高血圧リスクは、基準グループと変りませんでした。カリウムが高いと、ナトリウムの高さが相殺されるようです。
低カリウムのグループで高血圧のリスクが高かったため、カリウムが少ない食事の人はカリウムを取る量を増やすと高血圧を防ぐために有益と考えられます。
カリウムはバナナをはじめ果物に多いと知られています。腎臓が悪い人は控える必要がありますが、若年者でも高血圧が増えており子どもさんをはじめとして家族の食事の参考にすると良さそうですね。