専門医コラム
2015/08/28
ヨーグルト、チーズと白内障
乳製品の問題は以前にも取り上げました(それでも牛乳飲みますか?)が、『ヨーグルトは大丈夫ですよね?』と患者さんから良く質問されます。ヨーグルトも牛乳から作るものはお勧めしません。
実は若い方に白内障が増えています。8月にも10代の患者さんの白内障手術をさせて頂きました。20代で白内障になっている方も珍しくなく、本日も30代で明らかな水晶体の白内障性変化が生じている患者さんを拝見しました。
これには乳製品が大きく関与している可能性があります。乳製品が人間の免疫力を弱めて、アレルギー体質増悪に関与している事は比較的良く知られていますが、今回は白内障との関連についてお伝えしたいと思います。
乳製品でカルシウムを摂取?
”カルシウムを摂取する為に乳製品は必須” と言われた事はありませんか? 実は牛乳を毎日飲んでいる人の方が、骨粗鬆症になりやすいという研究報告もあります。牛乳単体では、むしろ体内からカルシウムを排出してしまうのです。
しかし、学校給食では必ず牛乳が出されますね。カルシウムの吸収だけを目的にするなら、ヨーグルトやチーズのように、加工の過程で乳糖がグルコースとガラクトースに分解されている乳製品を摂取すればいいということになりますが、そこにも落とし穴があります。
ガラクトース吸収には酵素が必要
グルコースは私たちのエネルギー源として重要な役割を果たします。しかしガラクトースは吸収されますが、そのままでは使うことができません。ガラクトキナーゼなどの酵素が働いてグルコースに変換されて初めて利用可能となるのです。もちろん乳児期にはこの酵素も持っていますが、離乳期を過ぎるとなくなってしまいます。これも哺乳動物の共通点のひとつですが、ヨーロッパ人など一部の人たちは成人になってもこの酵素を持ち続けています。
1989年になって乳製品の摂取と白内障についての疫学調査の結果が報告されました。吸収はされたが、ガラクトキナーゼなどの酵素がないためにグルコースになれないガラクトースが、一番落ち着きのいい場所を求めて体内を移動し、目の水晶体に落ち着いてしまうのです。
日本でも乳製品の普及につれて若年者の白内障は見られるようになってきました。若者のなかにはヨーグルト信仰で毎日のように500グラムものヨーグルトを食べている人もいます。残念な事に今月、先に述べたように、まだ18~19歳の若者の患者さんで白内障のために視力低下を生じて手術が必要になった経験をしました。
ガラクトースと白内障
最新医学大辞典にも「ガラクトース血症」の項に
「血中、尿中ガラクトースの増加する遺伝的疾患。ガラクトースのグルコースへの代謝過程の酵素の欠損によるもので、次の3型がある。
1)ガラクトース-1-リン酸ウリジリルトランスフェラーゼ欠損症で、ガラクトース-1-リン酸の蓄積による毒性のため、生後哺乳を開始して間もなく、嘔吐、不機嫌、食欲不振、黄疸、下痢など種々の症状を呈し、後には肝硬変、腎障害、ガラクチトールによる白内障が起こる。早期診断、早期治療で予後は良好である。
2)ガラクトキナーゼ欠損症で、症状は白内障のみ。
3)赤血球中のウリジン二リン酸ガラクトース-4-エピメラーゼが欠損しているエピメラーゼ欠損症で、臨床症状は全くない。
3型とも常染色体性劣性遺伝である」
と示されています。ここで3つに分けて記載されていますが、いま問題にしているのは2番目のものです。ここでは「遺伝的疾患」として3つとも「症」の字をつけて示していますが、現在の若者の間で問題になっている白内障は遺伝的疾患ではなく、哺乳動物が成長していくにつれて起こる正常な変化が起こっているにもかかわらず、ヨーグルトなどを摂取した結果と考えられます。
ヨーロッパ人の間ではこのような人は少数派ですから「症」を付けたくなるのかもしれませんが、世界の人類、哺乳動物の世界を見れば、これが疾患ではなくなるべくして生じてしまった結果だということがわかります。
尚、白内障以外にも乳がんと牛乳の関連についても医学研究の報告がされています。
学校給食とアレルギー
コンタクトレンズ障害が増えている背景には、アレルギー体質患者さんの増加があります。毎日の診療で、小学生の方から既に難治性のアレルギーをお持ちの方が増えている事に愕然とします。毎日学校で牛乳を飲んでいる事と無関係ではないと考えられます。もはや国民病とされる ”杉花粉症”。実際は、ご自身が杉花粉症であると自覚し、理解されている方は、杉花粉症患者さん全体の3割程度とも報告されています。慢性化して、気付いておられないのです。当然、コンタクトレンズを付ければ目は更に痛められます。
未成年者の近視には昼間のコンタクト装用より、夜間のみコンタクトを装用して視力を回復する視力回復コンタクト、 iOK® をお勧めします。この際に一番問題を生じるのが慢性アレルギー性結膜炎の患者さんです。アレルギー体質は生活習慣の結果です、しかし、生活習慣を変えずに、食生活等、そのまま継続されていると当然治りません。牛乳や乳製品摂取はその原因の代表です。原因を除去しないと子どもさんが苦労されるのですが•••。視力回復コンタクト、iOK® もコンタクトレンズを使用するので、目の状態を良くすることが安全な治療の基本となります。
なお、食事に関してはナチュラルハイジーンの考え方を参考になさって下さい。
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