専門医コラム

2015/09/24

骨を丈夫にする方法! 目の健康にも繋がる!!

牛 牧場

日本人が骨を丈夫に保つ方法はいろいろあります。

まずは運動です。日光のもとで歩くなどの身体活動で脱カルシウムを予防できると考えます。尿中へのカルシウム排泄を少なくするために、中年期以降、タンパク質の過剰摂取を避けることが重要です。たしかに、骨のモデルチェンジには骨形成細胞(骨芽細胞)が利用できるカルシウムが必要ですが、骨を丈夫に保つには200mg/日 も吸収されれば十分です。多ければ多いほど良い、とはならないのです。

タンパク質の摂り過ぎが骨粗鬆症を招く

1960年以前の日本人のタンパク質の摂取量は少なかったのです(欧米でも平均的な西洋人のタンパク質摂取量が急増したのは第一次世界大戦後のことである)。タンパク質は生命維持に必須ですが、成長したヒトの身体は栄養学者が言うほどには多量のタンパク質を必要としません。19歳から51歳の成人に対するアメリカのタンパク質摂取量の勧告値は0・75g/kgです。これに従うと、体重60kgの人は1日に45gでよいことになります。WHOは成人のタンパク質摂取量は1日当たり0・6g/kgでよいと言っています。60kgの人は36gでよいことになります。日本人の食事摂取基準におけるタンパク質の1日摂取推奨量は50歳以上の男性でなんと60g、女性で55gです。現在の日本人のタンパク質摂取量は総カロリーの16%にも達しています。2005年の国民健康・栄養調査によると、60~69歳の日本人は平均して75・8gものタンパク質を摂取しています(うち、動物性タンパク質が40・0gで52・8%を占める)。日本人の身体が悲鳴をあげています。タンパク質が多すぎる!

炭水化物の最終分解産物は炭酸ガスと水であるが、窒素という元素を含むタンパク質は尿素(=タンパク質の主たる最終分解産物)として腎臓から排泄されます。人間の腎臓は多量のタンパク質の処理には不向きにできています。日本では現在、慢性腎臓病(CKD)が急増している(日本腎臓学会編、CKD診療ガイド、2007年5月)。2005年の透析患者は25万人を超え、さらに毎年1万人以上も増え続けている。昨今のCKDの急増がタンパク質の過剰摂取によるものかどうか判らないが、ひとたび腎不全になってしまったら、タンパク質摂取を厳しく制限しなければならない。

Ideura T, Shimazui M, Morita H, Yoshimura A. Protein intake of more than 0.5 g/kg BW/day is not effective in suppressing the progression of chronic renal failure. Contrib Nephrol 155:40-49, 2007.

日本の栄養学は、ドイツ伝来の栄養素栄養学(タンパク質・ビタミン・ミネラルなどの栄養素を強調する栄養学)で、なかでも異常なまでにタンパク質に固執し、常に「タンパク質が足りない」と日本人を洗脳してきた歴史があります。あらゆる場面で「良質なタンパク質=動物性タンパク質」を推奨してきたのです。そのせいか、今でも「最近、あまり肉を食わないから、スタミナが落ちた」という若者がいます。しかし、肉や乳製品を食べなくても、「穀物+大豆+野菜」で十分量のタンパク質が摂れるのです!

牛乳(=カルシウム)やタンパク質をたくさん摂っている国ほど骨粗鬆症による骨折が多いというカルシウム・パラドックスに対して全米酪農評議会の科学顧問を務めるヒーニー氏はつぎのように反論しています。

Heaney RP. Calcium, dairy products and osteioporosis. Joural of American College of Nutrition 2000; 19: 83S-99S.

「ヨーロッパ系白人の大腿骨頸部骨折がアジア人に比べて多いのは、股関節の形状が両人種で異なっているからである。ヨーロッパ人の大腿骨は股関節軸(頸部)が長いために解剖学的に折れやすい構造になっている。また、アフリカの黒人はヨーロッパ人よりカルシウムの利用効率に優れており、カルシウム摂取量が少なくても骨の健康度が良好で骨折を起こしにくい。」 つまり、ヒーニー氏は、ヨーロッパ人はカルシウムの利用効率に劣りかつ解剖学的に骨折を起こしやすいのでカルシウムをたくさん摂らなければならないと言うのです。彼の言説に従えば、欧米のカルシウム摂取基準はアジア人にはあてはまらないということにもなりますね。

近年、これまでの栄養学について疑問を呈する方が増えてきています。乳製品に限らず、『不食』でも病気にならず、むしろ丈夫に生きている方がおられます。これまでの栄養学では説明不可能で、現代医学、栄養学は一度オールリセットするべきかと考えます。

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