専門医コラム
2015/10/23
外で遊ぶと近視を防ぐ、小学1年生 中国の研究結果
小学1年生が屋外で過ごす時間を増やすと、その先3年間で近視になる確率が減るという研究結果が報告されました。
40分の屋外活動クラス
今回の報告では、東アジアや東南アジアではさまざまな地域で近視が増えているとのこと!
研究グループは、学校にいる間に屋外で過ごす時間を増やすと近視の発症率に影響があるか注目しました。
研究グループは、2010~13年に小学校1年生の約950人で、毎登校日に40分の屋外活動を1クラス追加。放課後や週末/休日も子どもに屋外活動をさせるよう親に勧めてして効果を検証しました。
同じような取り組みをしない約950人と比較し検証しました。全体の平均年齢6.6歳でした。
近視の程度と眼球の変化も調べる
近視は、遠視や乱視と同様に「屈折異常」の一つで、眼球が大きくなりすぎる病気です。眼球の前後の長さ(角膜から網膜まで)を眼軸長と呼びます。
また、光を曲げる力を屈折と呼びますが、眼の角膜と水晶体(レンズ)の屈折力が強すぎると、網膜の前で焦点が合ってしまい、やはり遠くが見えにくい近視になります。
今回の研究では、この眼軸長と屈折率の変化も、全生徒で測定しています。
世界オプトメトリー会議(WOC)という機関の研究で使用されている基準−0.5D以上を近視とと定義しています。D(ディオプター)は屈折率の単位で、1.0や0.2などのいわゆる「視力」のことではなく、メガネやコンタクトレンズの矯正度数(メガネの強さ)とお考え下さい。マイナスの数値が大きくなる程、近視が強くなることを意味します。
屈折率の変化少ない
3年間の新たな近視発生率は、屋外活動を増やしたグループが30.4%、増やさなかったグループが39.5%でした。
屈折率の変化も、屋外活動を増やしたグループで−1.42Dと、増やさなかったグループの−1.59Dより少ない結果でした。
眼軸長の変化は両グループで差が認められませんでした(0.95mmと0.98mm)。
この一つの報告で、全ての子どもに同じ結果が望めるとは言い切れませんが、拙著『子ども視力回復トレーニング』でも、P98 で ”室内中心の生活が及ぼす影響” について説明しています。
外で遊ぶことはストレスを軽減して、免疫力を高める効果が期待出来るため眼球の過剰成長を抑制する効果に繋がると考えられます。