専門医コラム

2015/11/20

老眼とドライアイ

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加齢によって涙の量は減っていきます。20代と50代の涙液を比較したとき、明らかに50代での涙液が減少しているという研究結果も報告されています。40代~50代といえば、そろそろ老眼の始まりを意識するころ。近くが見えにくいな、目が不調だなと感じたら、老眼に加えてドライアイの可能性もお考え下さい。

現在、国内には約800~2,200万人のドライアイ患者がいるといわれ、年々増加しているのです。目の疲れを訴えて来院する中高年女性を診察すると、老眼の放置による疲れ目のほか、ドライアイということが多いのが現場での私の実感です。

ドライアイの大きな原因は角膜を守る涙の量の減少に加えて、涙の質が悪くなることでもあります。涙は目の表面を潤すだけでなく、角膜や結膜の細胞に栄養を与えています。涙は主に油分と水分で構成されていて、水分には、ムチンやたんぱく質が入っています。この油分と水分のバランスが崩れると涙が蒸発しやすくなると考えられています。ドライアイは症状が進むと眼球の潤いが失われることで角膜に傷がつき、異物感や痛み、まぶしさを感じることもあります。症状がひどくなると視力低下も引き起こす可能性も否定できません。

また、老眼は加齢により誰にでも訪れる現象ですが、ドライアイについては対策をすることで症状を軽減することが出来ます。以下、ドライアイの症状を悪化させないために気をつけたいポイントをいくつかあげてみます。

① 睡眠不足: 寝不足による疲れやストレスにより供給される涙の量が減ることがあり、目がゴロゴロしたり、ピントが合いにくくなったりする。

② 長時間のPC作業: 定期的に目を休める時間をとって下さい。オフィスなどでエアコンの風が直接当たる場所は、目の表面の乾燥を引き起こすのでできれば避けて下さい。実は女性の美肌づくりで注目される加湿器は、ドライアイにも効果的。美肌だけでなく、目の乾燥対策としても活用することをお勧めします。

③ 食事: 血液が酸化するとドライアイも悪化します。糖質、動物性タンパク質、乳製品等は血液を酸化させやすく、ドライアイの方は食事の内容を見直すことをお勧めします。

④ コンタクトレンズ: ドライアイ悪化の大きな要因です。どうしても使用される場合は、保湿力の高いものを短時間に限定して使用することも有効な対策と考えます。眼鏡ではどうしても生活上困るという方には、レーシックや眼内コンタクトレンズなどの近視手術をお勧めします。コンタクトレンズを付けて生活することが無くなると、裸眼視力向上に伴い生活の質が改善します。ドライアイが改善すると、老眼についても自覚症状が改善することが多いのです。

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