専門医コラム
2015/11/22
北海道の温泉から見つかった古細菌、生命起源にヒント!
北海道の温泉から見つかった細菌が、生命の起源にヒントを与える可能性もあるという報告です。詳細は以下の文献を参照下さい。
Scientists unlock the secrets of a heat-loving microbe
80度という高温でも生きる
前述の研究は英国ヨーク大学と米国デューク大学の合同研究グループが、世界的な科学誌ネイチャー2015年9月4日号で報告しました。
研究グループが伝えているのは、北海道の温泉で発見された単細胞生物。古細菌とも呼ばれる「アーキア」と呼ばれる生物で、スルホロブス属という仲間に入るものです。硫黄をエネルギー源としていて、熱や酸を好む性質を持っています。米国のイエローストーン国立公園やアイスランドの温泉でも見つかっているそうです。
アーキアは、湖や海、昆虫や哺乳動物の消化管など、ごくありふれた環境のほか、深海の熱水噴出口や火山泥、死海など過酷な環境に棲息しているとのこと。
スルホロブス属は通常の生物なら溶けてしまうような環境、80度の高温でも成長できます。
DNAを引き継ぐタンパク質
研究グループは、生命維持に必要な3つのタンパク質の3D構造を解明しています。3つのタンパク質はAspA、ParB、ParAといって、DNAを次世代に引き継ぐために必要になると突き止めています。通常の生物は2つのタンパク質を使うところを、3つのタンパク質で対応しているところが驚きと研究グループは説明しています。
過酷な環境で生命活動を維持する秘密をたどると、我々人間の健康との関連はもちろん、さらには地球外の生物を探るヒントにも繋がるかもしれません。