専門医コラム

2015/11/25

メタボがむしばむ目 目はカラダの先行指標!! ③

ダイエット

動脈硬化は目の血管でも起きている

“目で分かる動脈硬化”として注目されているのが、網膜の動脈や静脈が閉塞する「網膜血管閉塞症」です。

動脈と静脈が、ほぼ並行に絡み合うようにして走っている目の血管もまた、メタボの影響で動脈硬化を起こします。動脈が詰まる「動脈閉塞症」は、主として心臓にできた血栓が飛んできた結果として起こるのですが、これが目で生じた場合、片側の目の視界が暗くなって、そのまま戻らないことがあります。発症頻度は少ないが、脳梗塞が突然起こるのと同じように、防止する有効な手立てはありません。

動脈硬化になると静脈も詰まりやすくなります。動脈は、静脈の上を走っていることが多いのですが、動脈が硬くなると静脈は圧迫され、さらにメタボでドロドロになった血液で、動脈の下の静脈も詰まるのです。そうなると、いよいよ血液の行き場がなくなり、噴き出してきます。血液だけでなく、同時に水分も出てくるので、網膜の中心である黄斑部に浮腫ができるのです。視力が急に低下したり、視野の一部が欠ける、ゆがんで見えるなどの症状が出現します。

網膜血管閉塞症は加齢による血管の老化も加わって起きるので、発症するのは60~70代が多いですが、40~50代も決してまれではありません。こちらも、浮腫に対しては、抗VEGF薬の定期的な注射で、視力低下が抑えられる場合があります。

糖尿病、メタボの人は40代でも目は70代

糖尿病、メタボは、全身の老化を促進します。40代でも、目は70代ぐらいという人もいるのです。

老化が現れやすい部位だからこそ、目の健診は大切です。また、体の中で、血管の状態を、外側から直接のぞき込むことができるのは、目だけです。

眼底検査で血管を直接見ることで、動脈硬化や糖尿病、メタボに気付くこともあります。 メタボの人もそうでない人も、目の健康診断をおろそかにしないことは重要なのです。

この他の目の病気では、加齢とともに、レンズに相当する水晶体が濁ってくる「白内障」も、メタボの人では発症が早いことが知られています。水晶体が透明性を保つには、細胞がきちんと入れ替わることが必要。メタボで代謝の異常が起こると、細胞を入れ替える能力が低下して、白内障が早まります。

やはり、網膜の病気で、網膜の中心部の黄斑と呼ばれる部分が障害される「加齢黄斑変性」は、喫煙が大きなリスクであることは知られています。食生活の欧米化や、メタボによる全身の炎症がかかわっている可能性も高いと言われています。

老眼はもちろんのこと、ほとんどの目の病気は、加齢にしたがって進行するものが多いです。異常を見落とさないためには、時々、片目で見てみること!  両目で見ていると、良い目が悪いほうをカバーするからです。カレンダーを片目で見て、碁盤の目や数字がちゃんと見えているか確認することは有用です。失明はもちろん、カラダの命取りになる危機をも救うことに繋がる可能性があるのですから!

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