専門医コラム
2015/12/01
エクストラバージンオリーブオイルが血圧やコレステロール、免疫に好影響
太りぎみの人で、食事で使う油をエクストラバージンオリーブオイルに変えると、血圧やコレステロール、免疫の面で良い影響が出てくるとの報告です。
精製されていないオイルを検証
米国タフツ大学を含む研究グループが、栄養学/代謝学のオープンアクセス国際誌であるニュートリション・アンド・メタボリズム誌2015年8月号で報告しました。
オリーブオイルが豊富な地中海食は、肥満や高脂血症のリスクが低下すると、研究で証明されるようになっています。さらに、オリーブオイルが免疫に及ぼす影響について、免疫の観点から調べています。免疫は細菌やウイルスなどから体を守る機能。
免疫機能を調べた研究では精製されたオリーブオイルが使用される場合が多いと言われています。精製されたオリーブオイルは、精製されていないエクストラバージンオリーブオイルに含まれるような抗酸化作用を持つフェノール化合物を含んでいません。ここではエクストラバージンオリーブオイルの効果を調べています。
混合の油と比べる
研究グループは、典型的な米国の食事を取っている過体重または肥満の41人(65歳以上)に、食事に含まれる油分をコーン油/大豆油/バターの組み合わせ、またはエクストラバージンオリーブオイルのいずれかに替えて(ほぼ同数の2グループ)3カ月間続けてもらいました。
開始時と3カ月後に、血圧/身体測定、血液検査などをしています。
皮膚で異物に反応して起こる遅延型過敏反応のほか、空腹時血糖値や脂質、免疫関連検査としてT細胞やIL-2サイトカインといったものも確認しています。T細胞は免疫を担う細胞の一つ。細菌やウイルスを攻撃するといった役割があります。
血圧やコレステロール、T細胞に変化
混合油グループに比べて、エクストラバージンオリーブオイルのグループでは、いわゆる上の血圧である収縮期血圧が低下したほか、善玉であるHDLコレステロールの増加、T細胞の増殖が認められました。
T細胞の内容や皮膚の遅延型過敏反応に差はなかった。
太った人で食事に含まれる油分をエクストラバージンオリーブオイルに変えると、心臓や血管の代謝、免疫関連にとって利益があると研究グループは解釈している。
油のような身近なところを変えただけで体の調子が変わるところは確かなのだろう。