専門医コラム

2015/12/02

食物の胃での滞留時間、ご存知ですか?

我々の身体は食べたもので出来ている、意外とこの点が忘れられています。

 

『糖尿病の食事療法は、正しい食習慣、過食を避け、偏食せずに一日3食規則正しくバランスのよい食事をとること。毎食「主食」、「主菜・たんぱく質の多いおかず」、「副菜・野菜料理」が食卓にそろうようにする』 と指導を受けることが多いです。

私はこの食事療法に賛成しません。胃で長時間滞留する食物は消化器への負担が大きく、身体の免疫力に影響するからです。

 

食物の胃内滞留時間

食べた物は、胃の中にどのくらいの時間滞留するでしょう?食道から送られてきた食物は、小腸での本格的な消化・吸収のための前処理を胃で行います。

概ね食後10分ごろから小腸への胃 内容の排出が始まり、短いもので1時間から長いものでは5時間ほども滞留しますが、多くのものが2~3時間で小腸へ送られます。

 

食物が胃に留まる時間は、食物の量と質によって違う

同じ食物でも、当然ですが量が多いと胃に滞留する時間も長くなります。食べ過ぎていつまでも胃がつかえた感じがすることを多くの方は経験されているでしょう。例えば、牛乳の胃での滞留時間は、75mlでは1時間15分、200mlでは2時間、400mlでは2時間30分と言われています。

糖分、炭水化物に比べるとタンパク質は、胃の滞留時間が2倍長く、脂質は胃の運動を抑制して、最も長く滞留します。

タンパク質や脂質が多いと腹持ちがいいことも多くの方が経験済みでしょう。胃に長く滞留する問題の一つとして、夜遅くに食べると脂肪になり易いのです。

この知識を活用すると、カロリーコントロール中は糖分や脂質はあまり摂りたくないですから、高たんぱくで低カロリーな食物を、ある程度の量食べることで、カロリーを抑えながら腹持ちをよくして、空腹のストレスを軽減しつつダイエットすることができると言えるのではないでしょうか

 

食物の組み合わせで胃内の滞留時間は変化します。だいたい以下のような感覚でとらえておくと参考になるでしょう。

食べ物の胃内滞留時間

20分~30分・・・・・果物

       果物は、消化にほとんど時間がかからず、果物自体に食物酵素が豊富に含まれているので、 人間のもつ体内酵素も無駄使いしない食べ物。

1時間~2時間・・・・・・野菜

       野菜も、消化にあまり時間がかからず、食物酵素を豊富に含んでいます。

2時間~4時間・・・・・炭水化物

       炭水化物(米、パン、パスタ、麺類、調理済みのイモ類)の消化には、時間がかかります。 でんぷん質を分解するための酵素が必要になります。

4時間~6時間・・・・タンパク質

       タンパク質(肉、魚、卵、乳製品、木の実、種子類)の消化には、最も時間を要します。 タンパク質を分解するための酵素が必要です。

 

人間は、ホモ・サピエンスという種類の動物でチンパンジーなどと消化器の構造はほとんど変わりません。チンパンジーは果食動物で一日の食事の50%は果物です。普通、動物たちは1回の食事で1~2種類の食べ物を食べます。しかし食物連鎖の一番上に位置する人間は、かなりの雑食をしているようです。

液体の食品は固体の食品より胃の中の滞留時間が短いことが知られています。また、液体でも糖分が多いと滞留時間が長くなります。同じ量の固体でもタンパク質、脂質、炭水化物の含有率が異なると滞留時間も違ってきます。一般的に、食物繊維<タンパク質<脂質が多い食品の滞留時間は長くなることが知られています。

 

果物と野菜の摂取が骨を強くする

アメリカ、タフツ大学などの研究チームは、果物や野菜を多く摂取するとアルカリ度が上がるため、骨からのカルシウムの損失が抑えられるので骨が強くなると「臨床内分泌学・代謝雑誌」のオンライン版に発表しました。

タンパク質は筋肉や骨に必須の栄養素ですが過剰になると体内で酸性物質が増加するため、中和に必要なカルシウムが骨などから失われると考えられています。

研究では50歳以上のボランティアを対象として、タンパク質の摂取量と炭酸水素カリウムとの関係を解析しました。その結果、炭酸水素カリウムは尿タンパク質の排泄を抑えるだけでなくカルシウムの吸収を促進することが分かりました。

以上の結果から研究者らは、カリウムなどミネラルを豊富に含む果物や野菜の摂取は骨の健康に必要で、体内の酸とアルカリのバランスを保つために大切な食品であると述べています。

【文献】Ceglia, L. et al.: Potassium bicarbonate attenuates the urinary nitrogen excretion that accompanies an increase in dietary protein and may promote calcium absorption. J. Clinic. Endocrinol. Metabolism. Online Dec. 2. (2008) [doi: 10.1210/jc.2008-1796]

 

消化器に負担をかけすぎないことが健康の秘訣!

胃での食物の滞留時間がこれだけ差があると、長時間滞留する食物が消化器への負担が大きいということが理解されるでしょう。この負担が身体の免疫力にも影響します。

例えば目の病気の予防、治療には以下のコラムを参照なさってください!

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