専門医コラム

2015/12/12

目の老化は生活習慣とストレッチで防ぐ

目が疲れやすい、近くのものが見えづらい、目が乾くなどの不調が気になりだしたら、目の老化のサイン。

年を重ねれば老化は避けられないものですが、五感の中でも目からの視覚情報は大切なもの。できるだけ長く目の健康を保ち、快適な生活を送るにはどうしたらよいのでしょう?

目の老化の始まりは40歳ぐらいから。目的の眼鏡を適切に!

毛様体筋/伸縮し、水晶体の厚みを変えてピントを合わせる。|水晶体/厚みを変えることで、入ってきた光を屈折させ焦点距離を調節する。レンズの役割。

老眼は早い人では40歳ぐらいから始まり、60歳ぐらいまで老化が進行します。実際に老眼の症状を自覚するのは平均45歳ぐらいだそう。

新聞や本の細かい文字など、手元から30cmほど離れたものが読みにくくなったら、それは老眼のサイン。

老眼は、加齢とともに、目の中にある水晶体の弾力性が低下して硬くなってくることや、その水晶体を支える毛様体筋の働きが衰え、ピントを合わせる調整機能が低下することが原因です。

「老眼鏡をかけると老眼が進む」と思っている人もあるようですが、そんなことはありません。かえって早めに老眼鏡をかけることで、目の疲れを防止することにもつながるでしょう。

見えづらいのに我慢していると、無理にピントを合わせようとするので、過剰に負担がかかり、目の疲れだけでなく、肩コリや頭痛を引き起こすこともあります。

一般的な老眼鏡は目から30~40cmの距離にあるものを見るのに便利です。遠くを見るときにははずします。

普段もメガネをかけている方は老眼鏡にかけ替えるのが面倒な場合、遠近両用の眼鏡も選択できます。ただし、使い始めのころは目が疲れやすくなったり、視界がゆがむなど、デメリットもあります。また、遠近両用のコンタクトレンズもありますが、最近のデータによると2~3年で使用をやめ、眼鏡に切り替える人が多いようです。

多少の面倒はありますが、使用目的に合った眼鏡を何種類かそろえて使い分けることが、目の疲れを防ぐためにもおすすめです。

全身のアンチエイジングが目の老化防止に

目がかすむ、まぶしさを感じる、急に涙が出てくるなどといった目の症状は、肉体的な過労、精神的なストレス、睡眠不足などが原因でも現れます。

同様に、目の老化は、加齢に伴う血行不良、自律神経のアンバランス、酸化ストレスの増大など、体全体の老化と関連が深いといわれています。

体の中でも目は、小さいのにたくさんの血液を要求する臓器です。疲れがひどく全身の血行が悪いと目に症状が現れます。寝不足が続くと頭部に血液が回らず、立ちくらみが起こりやすくなりますが、同時に目のピントも合わせづらくなります。

また、目のピントを合わせるのは自律神経の働きなので、睡眠不足やストレスなどで自律神経のバランスが崩れると、目に症状が出やすくなるのです。

老化と密接に関係する活性酸素(体内で発生する酸化力の強い酸素)も目に影響します。体内では酸化を防ぐ酵素が作られ、活性酸素に対抗する防御システムが働いていますが、年齢とともにその働きは弱くなり、酸化ストレスが増大します。目は酸素の消費が多いため、他の臓器に比べても、活性酸素による酸化ストレスを受けやすいのです。

つまり、目の老化防止のためには、全身の老化防止を心がけることが大切です。

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