専門医コラム

2016/01/17

コラーゲンの美肌効果はウソ? その②

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前回のコラーゲンの美肌効果の続きです! コラーゲンペプチドを用いて行われた実験をご紹介します。

「人工コラーゲンペプチド」に効果が!

ある製薬会社が2009年に行った実験では、人工的に作ったコラーゲンペプチド5gを4週間食べた人と、食べなかった人では、食べた人のうち30歳以上の人の肌のうるおい(角質の水分量)が上昇したという結果が出ました。また、2014年に行われた実験では、同様のコラーゲンペプチド2.5gまたは5gを4週間食べた人と、食べなかった人では、食べた人のうち45~65歳の人の肌の弾力性やシワの本数、コラーゲンの量などに改善が認められたことがわかりました。

こうした実験結果からはコラーゲンペプチドには美肌効果があると考えられます

現時点では、コラーゲンペプチドが直接美肌効果をもたらすという分子メカニズムは明らかになっていません。この点が解明されないと、コラーゲン効果について懐疑派の方への強い証拠とまでは至りません。ですが、コラーゲンペプチドに美肌効果がないと言い切る証拠があるわけではないので、少なくとも実験レベルでの効果は確認され、実際被験者の方が効果を実感されたという事実は確認されているのです

人工的に作ったコラーゲンペプチドの美肌効果」については、現時点でそのメカニズムへの研究が今後期待されます。

食物中からコラーゲンペプチドが摂れるのかは謎

しかし、「コラーゲンを食べて美肌になる」ということについては、やはり懐疑的にならざるを得ません。

これら実験条件は「人工的に作ったコラーゲンペプチド2.5gないしは5g」です。一方で、肉や魚100g中に含まれるコラーゲンは1~5g程度であると言われています。まず、コラーゲンが全て人工的につくったコラーゲンペプチドと同様の形に分解されるとは限りません。コラーゲン1~5g分全てが実験と同じコラーゲンペプチドになるとは限らないのです。さらに、コラーゲンペプチドはコラーゲンよりも1/100の重さですから、食事から摂れるコラーゲンペプチドの量はかなり少ないことになります。

実験条件と同じ食生活をするのは、現実的ではないと考えられます。少なくとも「コラーゲン鍋」を1回食べてすぐには美肌にはなりません。

したがって、

(1)コラーゲンペプチドには美肌効果があると考えられる

(2)しかし、食事からコラーゲンペプチドの効果を得るのは現実的ではない

と考えられると思います。

コラーゲンはタンパク質なので食べて無駄ではなく、食事を楽しむことは良いと思います。

皮膚の問題が気になる方は、無理に食事で大量摂取を考えるよりも、胃腸に負担をかけすぎないように効率よく高品質のサプリメントの使用を推奨します。

もちろんサプリメントを摂取すればそれでよいわけではありませんので、まずは健康の基本、美肌対策として「質の良い睡眠」もお忘れなく! (⇒ 良質な睡眠のために ”寝るだけ口テープ法” )

このようにコラーゲンと言っても、その内容を理解の上摂取をしていただきたいと思います。

コラーゲンペプチドも、上記の実験的にはそれなりの効果が認められていても、市販のコラーゲンペプチド全てに同様の効果があるとはいえず注意が必要です。またあくまで ”人工” 的に生産されているものであり、実験と実際の我々の身体で起こっていることとの関連については研究が必要です。

次回はもう少しコラーゲンの基本的な点をお話しさせていただき理解を深めていただきたいと思います。

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