専門医コラム
2016/01/19
コラーゲンについて ②
皮膚の真皮では、コラーゲン繊維がエラスチンという成分に束ねられ網目状になっています。その隙間にヒアルロン酸が蓄えられ皮膚のハリや弾力を形成しています。
コラーゲンとコラーゲンペプチドの違い
一般的にコラーゲンとコラーゲンペプチドの違いを正しく理解している方は多くないと思います。
ところが知らないうちに市販されているコラーゲンサプリメントやコラーゲンドリンクにはほとんど全てにコラーゲンペプチドが配合されているのです。
このコラーゲンペプチドとコラーゲンの違いについて、コラーゲンの定義からお話しさせていただきます。
コラーゲンの定義
コラーゲンとはタンパク質の一種で体を形作る皮膚や骨などに多く含まれ、生命の根源ともいえる成分だと言われています。
少し複雑ですから、以下は興味をお持ちの方だけお読みください。
皮膚の真皮ではコラーゲン繊維がエラスチンに束ねられて網目のように存在し、その間にヒアルロン酸を蓄えて皮膚のハリや弾力を担っています。そして、このコラーゲン繊維はコラーゲン細線維が束になっており、コラーゲン細線維は約300㎚(ナノメートル:10億分の300m)のコラーゲン分子が架橋構造によって縦横に規則正しく繋がったものです。
また、コラーゲン分子は細胞で作られた「トロポコラーゲン」の両末端が切られたもので、コラーゲンの最小線維であるα鎖と呼ばれるアミノ酸の鎖3本で螺旋構造になっています。
コラーゲンの最小線維であるα鎖では、グリシンというアミノ酸が間に2種類の他のアミノ酸を挟みながら規則正しく繋がっています。
少し難しくイメージしずらいかと思いますが、この状態で体内に存在するのがコラーゲンなのです。
ですから、牛肉の刺身などを食べてもそこに含まれるコラーゲンは人間の消化酵素や体温ではほとんど消化できません。
コラーゲンとゼラチンの違い
ところが、肉を焼いたり炒めたり加熱すると、コラーゲンがゼラチンに変性します。この です。コラーゲンのアミノ酸鎖がほどけたゼラチンは水にも溶けますし消化できるようになります。
コラーゲンペプチドが普及するまでは、ゼラチンをコラーゲンとしてサプリメントに配合していました。
しかし、ゼラチンは「冷めると固まる(ゲル化)」という特性があり、サプリメントとして加工するには制約が生じます。
コラーゲンペプチドとは?
コラーゲンペプチドはゼラチンを酵素で分解し低分子化したものです。
コラーゲンの平均分子量は、おおよそ30万~36万で、ゼラチンは数万~十数万ですが、コラーゲンペプチドは数百~数千と非常に小さくなります。このため、ゼラチン以上に水に溶けやすくなり、「冷めると固まる(ゲル化)」というゼラチンの特徴が無くなります。結果として吸収性も高まり、ペプチドが持つ特性のメリットが出てきました。
コラーゲンペプチドの状態ならば、水に溶けて冷めても固まらないのですから、コラーゲンのドリンクを作ることが可能になったわけです。
また、その他のタイプのコラーゲンサプリメントも加工がしやすくなり、コラーゲンペプチドの登場によって一気にコラーゲンブームが始まった、とも言えます。
コラーゲンが熱などによって変性してゼラチンとなり、そのゼラチンを酵素分解で低分子化したものがコラーゲンペプチドです。コラーゲンの状態が変わっただけで構成するアミノ酸の組成はほぼ変わりません。
それでは、市販されているコラーゲンサプリメントやコラーゲンドリンクにはほとんど全てにコラーゲンペプチドが配合されているのであれば、どの商品も同じ効果が期待できるのでしょうか?
話が複雑になってきましたね!?
次回はこれまでのまとめと、市販品に使用されているコラーゲンペプチドの注意点をお伝えしたいと思います。