専門医コラム
2016/02/29
眼科処置中、あるいはトイレで倒れた! ・・・迷走神経反射による失神かもしれません
迷走神経(めいそうしんけい)、その名の通り迷いそうな名前ですね!?
迷走神経は脳神経の一つで、副交感神経や咽頭・喉頭・食道上部の運動神経、様々な分泌腺の分泌神経などを含んでいます。延髄から出ていて、脳神経でありながら、体内で多数枝分れして複雑な経路をとり、腹腔にまで広く複雑に分布しているところから、このような名前が付けられたのです。
眼科手術等、眼球に負荷がかかる際に生じる場合があり、眼科医が注意をする反射です。
しかし、眼科処置以外にも、意外と日常的に起こる場合も多いのです。
迷走神経反射とは
迷走神経反射(めいそうしんけいはんしゃ)とは、強い痛みや精神的ショック、極度のストレスなどが原因で自律神経のバランスが崩れ、血圧や心拍数の低下から脳に十分な血液を送れなくなることで起きます、さまざまな症状の総称であり、ワゴトニーとも言われます。
通常の迷走神経反射の場合、失神を起こした際にけいれんを伴うことがまれにあるのですが、多くの場合は数秒~数分程度で後遺症なく回復します。
迷走神経反射の原因
迷走神経反射を起こす誘因としては、下記のようにさまざまなものがあります。
・長時間の立位
・陣痛などの激しい痛み
・注射や採血
・激しい運動
・脱水
・排便、排尿
・怒り、驚愕
・飲酒
・睡眠薬服用
採血が誘因となって起こる、血管迷走神経反射(VVR)
迷走神経反射の誘因にはさまざまなものがあるのですが、中でも採血が誘因となって起こる迷走神経反射は血管迷走神経反射(Vasovagal reaction、VVR)といわれます。
迷走神経反射と血管迷走神経反射に症状上の大きな違いはないですが、血管迷走神経反射を起こした患者は症状が急変することがあります。また、迷走神経反射ではなく、心筋梗塞などの心疾患によって起こる合併症であるケースも考えられます。
そのため、しっかりと観察を行い、初期段階で適切な対処を行うことが重要です。
迷走神経反射の主な症状
迷走神経反射を起こしたときは、以下のような症状があらわれます。
・心拍数の低下
・血圧の低下
・顔面蒼白
・吐き気
・熱感、寒気
・めまい
・冷や汗
・視界が悪くなる
・失神
ちなみに、血管迷走神経反射(VVR)を起こして失神した場合は血管迷走神経反射性失神(VVS)といわれます。血管迷走神経反射性失神が起きる場合、前触れとして以下のような症状(前駆症状)が出ることがあります。前駆症状が確認された場合は、VVSを起こして転倒などしないよう前もって寝転がらせるなどの処置をとります。
・腹部の不快感、腹痛
・悪心
・嘔吐
・眩暈
・頭痛
・複視(ものが重なって見える)
・眼前暗黒感(目の前が急に暗くなる)
迷走神経反射の主な治療法
迷走神経反射が起こりそうだと判断した際は、その誘因と考えられることをただちに中止します。また、頭部を下肢部より下げる体位も有効です。
失神を避けるためには、両指を上下に組み、強く握って引っ張りあうように指示し、両足を組んで力を入れさせることも有効です。
血管迷走神経反射のように症状が深刻な場合は、低血圧状態を改善するために点滴を行なうこともあります。
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