専門医コラム
2016/03/29
ケナコルト硝子体内注射
花見シーズン、ついつい食べ過ぎ飲み過ぎで糖尿病管理がおろそかになる方も!?
糖尿病網膜症は日本での失明上位を占める疾患で、全身管理がよくなってもその前に網膜症が悪化していれば進行してしまう可能性が高い病気です。尚、糖尿病コントロールには桑葉が効果的であることは以前お伝えしましたね。
糖尿病網膜症に効果がある治療法!
糖尿病による3代合併症の一つ、糖尿病網膜症。国内での中途失明原因の2位となるこの疾患には血糖コントロールと定期検査が欠かせません。
当院でも視力検査・眼底検査・採血検査・尿の検査などを行っています。しかし、患者さんの中には定期検査が十分になされず、視力低下にて眼科を初めて訪れる方も少なくなく、治療が遅れたために視力を失ってしまう方も中にはいらっしゃいます。
糖尿病網膜症の治療法には網膜レーザー治療、硝子体手術などがあります。造影検査を始め様々な検査を行い、病状に応じて治療法を選択していきます。糖尿病網膜症が発症しても初期であれば血糖コントロールを厳格に行い、適切に治療を行えば進行を抑制できます。
今回お話しするのは、ステロイド剤の注射の治療でケナコルト(※)というステロイド剤を眼球の後ろに注入する硝子体内注射という方法です。糖尿病網膜症では、血液の循環が悪くなり、物を見る中心部(黄斑部)に水がたまってくる(浮腫)ことがあります。ケナコルトを眼球の後ろに注射することにより黄斑浮腫を治療することが可能です。
注射後に黄斑浮腫は軽減することが多いですが、3カ月前後で過半数が再発します。繰り返し投与することが必要になる場合があり、再発しなくなり治癒していく場合もあります。
手術の方法はまずよく消毒してから目薬で局所麻酔をした後、眼球を固定し黒目から少し離れた白目に細い針を入れ、薬を眼球に注射します。
副作用と合併症については感染、眼圧上昇、視力低下などの副作用が報告されています。
治療は保険適応になりますのでご自身の症状が気になる方はお気軽にご相談下さい。治療の対象になるかどうかは、医師の診療で適応判断させていただきます。