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以前のコラムで、目のクマと貧血の関係についてお伝えしました。
特に女性に多い「鉄分欠乏貧血」。その名の通り、鉄分不足の状態のことです。女性の5人に1人は貧血予備軍といわれています。
鉄分が豊富な食材といえば、ひじき、あさりの水煮、しじみ、レバー、きくらげなどがあげられます。ところが最近、「ひじきは鉄分が多い食材」というのは過去の話だった、ということが言われるようになりました。なぜ以前は、ひじきには鉄分が多いといわれていたのでしょう。
ひじきは栄養豊富な食品です。100gあたりの含有量を見てみると、カルシウムが牛乳の12倍、食物繊維がごぼうの7倍、マグネシウムがアーモンドの2倍も含まれています。そのほかにも、ビタミンBや葉酸なども豊富で、しかも低カロリー。そして、なんといっても鉄分が豊富に含まれているので、「鉄分の王様」と言われてきました。
しかし、その事実は過去の話。現在のひじきには、そんなに鉄分が含まれていないようなのです…。
文部科学省は昨年末、「日本食品標準成分表」の改訂版を公表しました。1950年に初版が作られて以来、15年ぶり、7回目の改訂です。
これによると、干しひじきに含まれる鉄分が、改訂前の9分の1以下に減っていることがわかりました。
具体的には、従来は、干しひじきに含まれる鉄分は、100gあたり58.2mgとされてきましたが、改訂後は、そのおよそ9分の1、100gあたり6.2mgしか含まれていなかったのです。
干しひじきは、原料の海藻を鉄製の釜で煮て渋みを取り、乾燥して作られます。以前はひじきを煮るとき、鉄製の釜が使われていました。しかし近年、使われる釜が鉄製からステンレス製に代わりました。それで、ひじきに含まれる鉄分が減ったというのです。鉄釜で茹でていたから、ひじきの鉄分が多かった…。つまり、ひじき自体には鉄分は多くなかったということでしょう。
今回改訂された成分表を見ると、ステンレス釜で加工されたひじきには、100gあたりの鉄は6.2mgしか含まれていません。一方、鉄釜での加工だと58.2mgです。
鉄分という観点でひじきを利用したい場合は、原材料の表記で、ステンレス製の釜で加工したのか、鉄製の釜で加工したのかをチェックしたほうがいいでしょう。
ひじきのほかに、切り干し大根について見てみると、100gあたりの鉄分は3.1mgで、以前の9.7mgのおよそ3分の1となっています。これも、以前は鉄製の包丁で加工していましたが、ステンレス製の包丁にとってかわったため、鉄分が減ったと考えられています。
意外な盲点ですね。今回の改訂で、ひじきは「鉄分の王様」とは言えなくなりましたが、食物繊維やカルシウムなどが豊富な食品です。加工する釜や包丁によって鉄分の含有量が変わるからといっても、それ以外の成分でやはり有用な食品だと考えます。残念ながらひじきを好まない子供さんが増えているようですが、子供さんには是非摂取してもらいたい食品であることに変わりはないと思います!
尚、日本ひじき協議会では、ひじきの「蒸煮」の場合、釜の材質によって鉄分含有量は変わらないと推測しています。同会では今後、鉄分含有量について、詳しく研究するとしています(日本ひじき協議会ホームページ)。
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