専門医コラム

2016/06/09

水素水は“現状”ただの水?

患者さんから、「小栗先生は蒸留水を勧めますが、水素水はどうですか?」とよく聞かれます。皆さんはどのように考えますか?

「良くなければ宣伝されないでしょう! 良いイメージなので積極的にとってます。」という方が多いのだろうと思います。

今回、面白い記事を見つけたので、以下記事から抜粋します。

週刊朝日 2016年6月10日号より抜粋

水素水は、文字どおり水素ガスが水に溶けたものだ。ブームのきっかけは2007年、日本の水素水研究の第一人者とされる日本医科大学の太田成男教授が、水素の抗酸化作用を発見。世界的な科学雑誌「ネイチャーメディシン」に論文を発表したことに端を発する。シミやシワなどの老化や、がんや生活習慣病、アレルギーなど、さまざまな病気の原因になると考えられている活性酸素を、水素の抗酸化作用で還元するというこの論文を、メディアは大きく報じた。太田教授の発見以降、水素研究は急速に進み、07年から15年6月までに日本、中国、アメリカなどで321もの論文が発表されている。

水素の抗酸化作用は、ビタミンCなど他の抗酸化物質と違い、「体に必要な活性酸素には反応せず、もっとも毒性の高い活性酸素を還元する」ところとされる(高齢者住宅フェアでの太田教授の発表から)。同氏の著書『水素水とサビない身体』(小学館)によると、活性酸素には遺伝子やタンパク質、脂質を酸化して破壊する「悪玉活性酸素」と、体に必要な成分である「善玉活性酸素」があり、水素水は悪玉活性酸素にのみ働き、善玉活性酸素には作用しないという。(以下中略)

だが、現段階で言えるのは、「水素水は可能性を秘めているものの、有効性については未知数だ」ということだ。誰もが納得する結果、成果を早く示してもらいたい。

こうした見解も含め、太田教授に取材を申し込んだが、「原稿の最終稿を見せる」「最終的に掲載に同意しない可能性もある」など諸条件が提示されたため、今回は見送った

(以上 週刊朝日 2016年6月10日号より)

"水素” という言葉で何をイメージするでしょうか?

おそらく多くの方は、悪いイメージは抱かず、中学生のころ覚えた元素の周期表の最初の原子番号一番の原子、何でも一番というと悪くない、と言った感覚をお持ちではないでしょうか?

そのため何となく健康にも良いイメージに繋がりやすいのではないかと思います。

その水素の肯定的なイメージに上手く乗って、水素を含むとする飲料水や浄水器を扱う業者が激増しました。実際、インターネットのショッピングサイトで「水素水」を検索すれば、関連商品がズラリと出てきて、百花繚乱の様相です。反対に言うと、"水素” が付いていないと売れない位の水素ブームです。

少し前の、「マイナスイオンブーム」も似たような状況でしたね。

一方で、問題がある商品が目立ってきており、国民生活センターは活性酸素の一種(ヒドロキシラジカル)を抑制する水を作ると謳った水生成装置2製品について商品テストを実施し、3月10日、その結果を公表しました。2製品のホームページには、いずれも「水素水生成器」と明記され、活性酸素を抑制すると紹介されていました。同センターは今回のテストで、製品に水素が含まれているかは調査していませんが、「飲用による効果を表した製品ではない」と結論づけて今す。

水素水として販売されている商品の中には、消費者庁から3月9日に行政処分が下っているものもあり、商品の効能について事実と異なる効能を告げて勧誘していたとの事。

どうもイメージ先行で、ブームに乗って売れるものなら販売しようという商売優先の感じがしなくはないですね。

次回は水素水に関する小栗の意見をお伝えしたいと思います!

 

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