専門医コラム
2016/06/10
水素水の利点、欠点
前回に続いて、水素水の利点、欠点について客観的な意見をお伝えしたいと思います。
水素の効能
水素そのものは、無味無臭の物質で人体に無害とされています。食品添加物として厚生労働省に認められており、認可後も継続的に検査が行われています。
一般に水素は爆発しやすいと思われているようです。「水素が爆発するから危険」と誤解される根拠に、水素の「燃焼範囲が広い」「極めて小さなエネルギーで着火する」という2つの物性(物質としての特性)があります。燃焼範囲とは、その物質が空気中にどのくらい混ざると燃焼が始まるか、という指標です。水素は、空気に4%〜75%混ざったときに、燃える気体になります。この状態に、静電気程度のエネルギーが加わると着火します。逆に、2つの条件が重ならなければ、自然に着火・爆発することはありません。そんなに簡単に爆発するものではありませんので、水素水が爆発するという心配はありません。
水素は、シミ・シワや老化に加え、癌や糖尿病、脳梗塞などの病気を引き起こす原因となる「活性酸素」と結びついて、除去する働き(=抗酸化力)を持っています。
水素水の抗酸化力で優れている点は、酸化力の強い悪玉活性酸素の「ヒドロキシルラジカル」と「ペルオキシナイトライト」だけを除去してくれることです。抗酸化力の高い物質としてポリフェノールやビタミンC・Eもよく挙げられますが、これらは善玉・悪玉問わず活性酸素全体を除去する場合がありますので、水素水の方が、選択性が高いと言えます。
水素水の注意点
① 水素は小さな分子
水素分子が小さいため、商品によっては出荷後に私たちの手元に届く頃にはすっかり水素が抜けている、といったケースも考えられます。
ペットボトルの場合、ペットボトルの素材よりも水素のほうが分子は小さいため、時間の経過と共に水素が外に抜け出てしまいます。水素水の保存に向いた容器とは言えません。
アルミ缶タイプの水素水は、商品によって水素の濃度に大きな差があるそうです。専門家による研究では、水素濃度が1.0ppm(※)あれば水素の十分な効果が期待できるが、0.08ppm以下になると、効果的な水素水とは認められないとされるようです。市販のアルミ缶で保存された水素水では缶内に空気が残っており、その結果水素と空気が結合してしまい、水素の含有率が低くなってしまうこともあります。アルミ缶タイプの水素水は、商品によって濃度にばらつきが生じていると言えるしょう。(※ppmとはparts per millionの略。1ppm=0.0001%)
水素水の保存には、アルミパウチタイプのものが適しています。水素は酸素と結び付きやすいのですが、アルミパウチタイプであれば空気を抜きやすいため、水素が空気に揮発してしまうことも防げます。開封後に保存する場合も、容器を潰して空気をできるだけ抜いた状態で蓋を閉めると良いでしょう。
② マグネシウムスティックの注意点
マグネシウムスティックで水素水を作成する場合、最も注意したいのはマグネシウムの濃度です。マグネシウムの含有量はそれほど多くないため、水素水の味が気になったり、身体に何か影響を及ぼしたりすることはありませんが、飲用で使うものですから、なるべく純度の高いマグネシウムを用いた製品を選ぶと安心です。そして、水素水を作り続けると、マグネシウムスティックは次第に小さくなります。そのため、含有量はなるべく多いほうが長持ちすると言えるでしょう。
また、水素水を作る容器の中に空気が存在すると、その空気中に発生した水素が逃げてしまいます。水をこまめに継ぎ足し、余分な空気を残さないようにすることをオススメします。
③ 水素水サーバー(電気分解装置)での作り方と注意点
水は、電圧によって電気分解を起こし水素を発生させますが、水素水サーバーはこの仕組みを利用しています。こういった電気分解によって発生する水素の粒子は小さく、酸素と結合しやすいのが特徴です。そのため作成した水素水は時間とともにドンドン水素濃度が低下していきますので、すぐに飲むことをお勧めします。
自分で水素水を作成する場合、使用する水の質によっても身体に良い影響を与えるかどうか、大きな違いになることと考えられます。電気分解で作成する場合、触媒として働く「不純物」が必要です。純水では水素水は作成できないのです。
そのため、この水素水は「不純物」が入っている水ですので、その作成元の水がどのような質のものであったかが水素水の安全性に大きな影響を与えると考えます。
次回は、水の質についてお伝えしたいと思います。