専門医コラム

2016/08/11

眼瞼下垂が睡眠障害を招く!?

暑い日が続きますが皆さんはグッスリ眠れていますか? 熱帯夜が続くとどうしても眠りにくくなったりします。

ところが眼瞼下垂によるまぶたの下りを睡眠不足だと勘違いしている人がいます。反対に、眼瞼下垂が睡眠障害を招くこともあるようです。今回は眼瞼下垂と睡眠の関係についてお話しします。

眼瞼下垂で起こる症状

これまでにも過去のコラムで述べてきたように、眼瞼下垂では目が開きにくく視界が狭まるので、肩や頭に力が入ります。(→ 「眼瞼下垂自己診断チェック! 意外と気づいていないかも・・・」

常に筋肉が緊張しているような状態なので、肩から首、背中などが張っているような感覚にも繋がります。緊張性頭痛や偏頭痛と呼ばれている症例のうち、眼瞼下垂が原因と思われるものも多く、眼瞼下垂の手術でまぶたが楽に開けるようになるとそれまでの症状が嘘のように改善する場合もあります。

気分が落ち込んだり、わけもわからずイライラしたりするなどの気分障害も起こり得ます。目や顔の片面の痙攣の原因となっていることもしばしば!

さまざまな症状が合併して起こるのが眼瞼下垂。「なんとなく調子が悪い」で済ませてしまっている方が多そうです。

眼瞼下垂が睡眠に及ぼす影響

眼瞼下垂は眠りにも大きな影響を与えることがわかっています。寝ても起きても疲れている感覚が抜けないことから、寝つきが悪くなってしまうのです。

やっと入眠しても、ストレスを溜めやすい状態が続いているので、眠りが浅かったりグッタリするような夢を見続けたりしてしまいます。そのため、「眠った気がしない」と感じる人も多いようです。

さらに、眼が開きにくいため、昼間眠気を感じる人もとても多いです。仕事中に居眠りをしてしまったり、常に倦怠感のような眠気を感じたりしてしまいます。

また眼瞼下垂から自律神経失調症などを引き起こす場合もあり、そうすると一層、夜眠くなり朝目覚めるという人間の正常な活動がしにくくなっていきます。

夜寝つけないのに、昼間は眠気がとれないという人は、眼瞼下垂を疑ってまずは眼科専門医(特にまぶたに詳しい医師)に相談してみてもよいでしょう。

眼瞼下垂、快適な生活や睡眠を実現するにはどうしたら良いか

眼瞼下垂はコンタクトで目を酷使することで起こることもあります。なるべくコンタクトは減らして、ちょっと疲れているな……という日には、コンタクトではなくメガネに替えてみるとよいでしょう。

目をこすることもNG。特に女性はメイクを落とすときにゴシゴシと目をこすってしまいがち。顔を洗うときはそっと撫でるように目の周辺を洗うことが大切です。

パソコンやスマートフォンを見て目を使い続けることも眼瞼下垂を引き起こす原因です。目が疲れているな……と感じたら、画面から目を離し休めましょう。

眼瞼下垂は手術で治るため、術後様々な全身的症状が改善する例は少なくありません。しかし、大事なことは原因の対応をして再発を防ぐことです。

メスを入れるのは怖い……という人には、瞼の筋肉を鍛え、さらに緊張をほぐす自分でできる対策をご紹介します。

白目をむくように目線を上げる訓練をしましょう。眼瞼下垂は目の筋肉の衰えからも起こるので、その衰えた筋肉を鍛えるのです。10秒間視線を上げます。近視のトレーニングにご紹介した「イルカロゴトレーニング」も眼瞼下垂対策に有効です。

眼瞼下垂を起こしている方は、眼球を上方へ向けることが難しくなっている場合が多いです。目の周りの「外眼筋」も一緒に凝り固まっていることが考えられます。

またいつでもできる簡単な対応としては、ギュッと目をつぶって、パッと開くことを繰り返すことも有効です。疲れ目対策や、痙攣を緩和させる役割も担います。これらのトレーニングを1日3回程度行ってください。

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