専門医コラム

2016/10/08

オルソケラトロジー・コンタクトレンズ

今回はコンタクトレンズの中でも、「視力回復コンタクト」とも呼ばれる、コンタクトを使った視力回復治療『オルソケラトロジー』についてお話しさせていただきます。

この治療は特殊なカーブデザインが施されたハードコンタクトレンズを装用することで角膜形状を変形して矯正し、主に近視などの眼科的屈折異常を治療する角膜矯正療法です。オルソは矯正、ケラトは角膜、ロジーは学問・療法を意味します。オルソケーOrtho-K)とも略され、レンズの名前からオルソレンズとも呼ばれます。

私がこの治療を知ったのはアメリカへ留学していた1,999年頃、オプトメトリストのドクター達がコンタクトレンズを寝るときに患者さんに装用させて近視を治療していると耳にしました。

アメリカの眼科医療はオプトメトリスト(日本では『検眼医』と訳されますが、医師です。主にコンタクトレンズの扱いをする眼科医と考えてください)と、オプタルモロジスト(オプトメトリストに対して、手術を行うのがアメリカの『眼科医』です)が役割分担して対応しています。しかし、当時はアメリカの眼科医の学会にも、日本の大学病院関係者もその治療を行っている人が見当たりませんでした。というのも緑内障の研究をしていた私にとっては『近視治療』は興味のわかない優先順位の低いテーマで、『なんかケッタイな治療があるんかいな』位の認識で、特に勉強するつもりがなかったのです。

ところが2,000年に全身のエネルギーの滞りを解消する施術治療を体験し、ドライアイや視力の改善を実感しました。当時は身体の『帯電除去』というような表現をしていましたが、現在の言葉で言うと『活性酸素除去』と言う方がしっくりするかと思います。身体の改善のおかげか、近視そのものが改善したためか、どちらが原因かは判断が難しいですが、『目が楽になり、すっきり見やすくなる』 経験でした。当時、私は-4.0ジオプターほどの近視で裸眼視力は0.08〜0.06くらいだったと記憶しています。改善と言っても0.5 位の視力で車の運転には不足するためメガネは使用していました。近視の屈折値はほとんど変化が無かったので、眼科的には『近視は改善していない』となるのですが、自覚は確実に良くなっていました

こうした場合、『一時的に目が潤って見やすくなったんだろう』 と眼科医は考えます。しかし、その視力が数週間に渡って継続したのです。一時的なドライアイ解消による視力改善ではなかったことは明らかです

視力の質が上がった、と言うと理解いただけるでしょうか。

この『近視改善』体験で、私の中で『近視治療』 の優先順位が上がりました。さらに視力を上げたいと考えるようになりました。

オルソケラトロジーを自分で体験

当時日本ではオルソケラトロジーは全く知られていませんでしたが、手術せずに『屈折値』を変える治療を本格的に行うことにしました。おそらく日本の眼科専門医でオルソケラトロジーを自分自身で行った最初の一人ではないかと思います。自分のコンタクトレンズのフィッティングを確認できる眼科医がいなかったため、鏡を見て自分でオルソケラトロジーレンズの合わせをしました

そして本当に 『寝るだけ視力回復』 を確認しました。

それ以来、約15年に渡って私の近視は屈折値も含めて改善しており、夜の車の運転も眼科手術も裸眼で行っています。趣味の水泳や海で泳ぐときも裸眼の快適さを実感しています。

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