専門医コラム

2016/10/31

「薄毛はコラーゲンの減少が要因」 東京医科歯科大学の西村栄美教授らが発表

東京医科歯科大学の西村栄美教授らが発表した薄毛はコラーゲンの減少が要因という研究成果! これまでの薄毛といえば“男性ホルモン”ばかりが悪者扱いをされていましたが、今回の研究成果により、従来より言われていた薄毛のメカニズムに新しい機序が加わったのです。

そもそも毛を生やすのは「毛包」という器官で、この毛包がうまく働かないと、脱毛しやすくなったり、薄毛になったりするということは以前から言われていました。

東京医科歯科大学の研究チームは、この毛包の基となる幹細胞が、加齢とともに毛包へと育ちにくくなる現象に着目しました。マウス実験では、老化で幹細胞のDNAに傷が残り、「17型コラーゲン」を分解する酵素が多く出るようになったとのことです。17型コラーゲンが分解されて減少すると、なんと毛包は小さくなってしまうことを突き止めたのです。人の皮膚でも50~70代の毛包は20~30代より小さく、17型コラーゲンの量も減っていたと確認されたのです。

男女関係なく歳をとると毛が薄くなる!?

毛を作る細胞、毛包幹細胞は、コラーゲンの一種に保護されていて、この細胞は、毛を作るときに細胞分裂を起こし、DNAを傷つけます。若いうちは自ら修復できますが、歳を取ると修復のための酵素を使わざるを得なくなります。

問題はその酵素がコラーゲンを分解する性質がある点です。コラーゲンの保護を失った毛包幹細胞は、皮膚の表面へと追いやられ、フケや垢となって皮膚から剥がれ落ちます。このとき毛穴は徐々に小さくなり、やがて無くなってしまうことに!!

遺伝子操作したマウス実験によると、コラーゲンを持っていないマウスは生後10ヵ月でほとんどの毛が抜け落ちました。一方、コラーゲンを体内で作り続けるマウスは、2年8ヵ月を過ぎても、毛がフサフサだったという結果でした。

つまり薄毛改善のカギは ”コラーゲン” と言えるのです。

毛包が残っているうちに手を打たなくては手遅れになる!

今回の発表は朗報に思えます。しかし一方で残酷な面もあります。このメカニズムによれば、完全につるつるになってしまった箇所から毛が生えてくることはほぼない、ということ!

つまり毛包幹細胞が生きているうちに対策をすることが求められます。

ではコラーゲンなら、どのようなものでも薄毛改善につながるのでしょうか? この点は今後の研究結果が待たれる部分ですが、結果が確認されるまでに毛包幹細胞が傷んでしまっては何もなりません。

尚、コラーゲンについては過去のコラムで詳細を解説していますので、次のリンクをご参照ください(→ コラーゲンについて )

コラーゲン 市販品の注意点

一般的にコラーゲンとコラーゲンペプチドの違いを正しく理解している方は多くないと思います。

ところが知らないうちに市販されているコラーゲンサプリメントやコラーゲンドリンクにはほとんど全てにコラーゲンペプチドが配合されているのです。(→ コラーゲンとコラーゲンペプチドの違い

近年市場に出回っている “コラーゲンペプチド” は、抽出したのちに各社独自の酵素を用いて分子量を小さくしています。

この過程で用いられている酵素がどのような物質であるかわからない場合もあり、長く安心して使用するためには人工的に分子量を小さくしなくても自然に近いコラーゲンの方が良いのではないかと考えられます。

例えば当院では内服用には、医療機関専用高分子コラーゲンを用いたサプリメントをご案内しています。

「高分子コラーゲン」=「ペプチド」ではありませんが、この高分子コラーゲンは消化されて“コラーゲン由来の “ペプチド” あるいは“コラーゲン特有の “ペプチド” となって体の様々なところに作用しているという意味で、“ペプチド”という言葉が当てはまると思います。

全ての高分子コラーゲンが良いとはもちろん言い切れませんが、市販品のコラーゲンペプチドの欠点を補った商品であると考えられます。

当院では市販品とは少々異なる「医療機関専用 高分子コラーゲン」を紹介しています。その理由は右のリンクをご参照ください (→ 医療機関専用高分子コラーゲンを用いたサプリメント)。

目のほとんどはコラーゲン

実は、薄毛のことをお伝えしたかったわけではなく、「コラーゲンの重要性」を薄毛に悩む方に目にとっても大変大切な成分であることをお伝えしたかったのです!

眼球の内部を埋める硝子体(しょうしたい)、水晶体、角膜、網膜などにはコラーゲンがたくさん含まれています。眼球はコラーゲンの塊のようなものです。

角膜は黒目の表面の部分で、コラーゲン繊維が規則正しく並んでいます。角膜がひずんで二重に見える状態を「乱視」と呼んでいます。物が歪まず正確に見えるのもコラーゲンがしっかりしているからです。乱視はコラーゲンの状態が何らかの原因で悪くなった状態と言えると考えます。角膜は外から目に入る光を屈折させて眼球へ届けます。そのために角膜がないと目が見えなくなってしまします。

角膜のコラーゲンは細菌やウイルスから目を保護する役割を果たしています。コラーゲンが不足すると、角膜が弱くなってしまいます。

その結果、角膜の傷、角膜の周囲が充血する角膜炎、白目が充血する結膜炎、視力低下、白内障といった状態につながります。

白内障の初期状態をご存知でしょうか? そう、”老眼“ です!  老眼もコラーゲンによって進行を遅らせることが出来ます

とても重要なコラーゲンですが、身体はもちろん、目にとってもコラーゲンの質を高めておくことは眼疾患予防や治療にとても重要なのです。

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