専門医コラム
2016/11/05
アレルギー性紫斑病の治療法
特効薬はない
アレルギー性紫斑病に特効薬はないとされています。原因がまだわかっていないためです。そのため不快な症状に対しての対処療法が多くの医療機関での対応となります。
経過観察のガイドラインとして、日本皮膚学会の血管症・血管障害ガイドライン(2008年)の診断アルゴリズムが使用されています。ステロイドなどの副作用の強い薬を使うかどうかの判断をする際に、ガイドラインで判断します。
ガイドラインでは、大きく「腎症あり」「腎症なし」で治療方針がわかれます。次に「消化器症状あり」「消化器症状なし」で治療方針がわかれます。このようにアレルギー性紫斑病の治療では、内臓疾患が同時に発症しているか、特に腎炎が発症しているかが重篤な状況かどうかの判断の分かれ目になります。
入院が必要な時
アレルギー性紫斑病の多くの場合は週週間程度で軽快し、後遺症もほとんど残らないと言われています。紫斑は動いたりぶつけたりするとひどくなるので、自宅療養で安静にして過ごします。先行感染(かぜなど)の原因がある場合は、それに対しての治療も行います。
紫斑以外の症状で、腹痛がひどい、下血がある、などの場合は、入院が必要になる場合があります。また、先述のとおり、腎炎など重篤な内臓疾患を併発しているような場合も、入院が必要になることが多いです。
痛み止めや湿布
痛み止めや湿布などで、腹痛や関節痛に対しては対処療法を行います。このような処置は、あくまでも対処療法ですので、根本的な原因治療には繋がりませんが、不快感を軽くしてあげる必要があるため、必要時には積極的に対応します。
ステロイドで炎症を抑える
強い関節痛がある場合にはステロイドを使用します。また、腹痛が強い場合には、点滴とともにステロイドの注射などを行うこともあります。どのような症状に対してステロイドを使うかについては、ガイドラインを参考に慎重に判断します。
ステロイドを選択する症状としては、激しい腹痛や下血などを伴う場合や、血尿、蛋白尿などで腎炎の疑いがある場合です。ステロイドを使用することにより、副作用の心配がある反面、腹痛を早期におさえて腸重積や紫斑病の再発リスクを減らすことができるというメリットがあるとの指摘もあります。
しかし、ステロイドはあくまで対症療法で辛い症状を抑えることが目的です。長期投与は副作用の危険性が増すばかりが、根治治療時の「好転反応」が強くなる傾向があり、慎重な使用が必要です。
なるべく安静にする
軽傷の場合に過度に気にする必要はないようですが、なるべく安静にしたほうがよいとの指摘もあります。安静にすることで、腎臓の機能へのダメージを軽減すると考えて、安静をすすめられます。
腎臓についてのある調査結果をご紹介します。外来時と入院中の安静状態で比較した場合、入院中のほうが尿蛋白が少なく、立った状態と寝た状態での比較でも、寝た状態のほうが尿蛋白が少ないとの調査結果があります。このことから、腎炎には安静にしていたほうが良い効果がある、ということが言われています。
アレルギー性紫斑病の場合、100%腎炎になるという訳ではありませんが、そのリスクがあるため、特に急性期では安静が必要とされています。
運動制限をする
軽度の場合は、安静にする必要はありませんが、上記のとおり腎炎のリスクを考慮して、急性期の運動は制限をしたほうが良いと言われています。腎炎の疑いがある場合は、安静を保ちましょう。
定期的な尿検査
腎炎が疑われる場合は、定期的な尿検査や血液検査が必要と言われています。一度回復しても後から腎機能の低下が認められたり、女性の場合は妊娠中に腎機能が悪化する場合があることも指摘されています。必ず定期的に検査を受ける必要があります。
また、成人もアレルギー性紫斑病になりますが、成人の場合は特に腎炎再発のリスクが大きいと指摘されています。特に注意をしたほうが良いでしょう。医師とよく相談の上、対応をしてください。
いつになったら治る?
治療期間については多くの場合、数か月程度で完治すると言われていますが、一般的な対症療法では原因が治らないため、1年以上過ぎた後で再発することがあります。合併症として腎炎が認められるケースは、アレルギー性紫斑病が発症してから、1か月以内に80%、1~2か月で20%が腎炎を発症すると言われています。
2か月過ぎても何も異常がなければ、腎炎の発症の心配が少なくなると言えますが、しばらくは尿検査や血液検査を定期的に実施して、腎臓病に進行しないように細心の注意を払うべきでしょう。
再発することはある?
再発率について
再発率については、約3分の1の症例で再発が見られるとの指摘がありますが、アレルギー性紫斑病に関する統計データは日本ではあまりとられていないようです。
再発の原因は?
もともとの原因がはっきりしていない病気ですが、アレルギー性紫斑病に先行した要因(たとえば、かぜなど)が、再発の原因になることも考えられるようです。再度かぜを引いたような場合に再発することがあるようです。何故なら「かぜをひく」ということは、身体を守る「免疫力」の具合が悪くなっているからです。アレルギー性紫斑病が身体を守る「免疫力」の異常による症状であることはほぼ間違いないことですので、「かぜ」などの先行症状が現れるものと考えられます。
また、腎炎を合併症として併発している場合は、慢性化している恐れがあるようです。定期的な検査や早目の受診が不可欠でしょう。
原因を治す
どのような疾患も原因を治すことが根治に繋がり、再発予防にも繋がります。
2003.BY YAYAMA.
一般的な対症療法では、原因が改善しません。当院のアレルギー科では、「原因の解決」を重視して対応します。ほとんどの病気はほぼ例外なく「5つの病因論」で原因を見つけることが可能です。
目だけでなく、殆どの難病と呼ばれている病気も原因を解決すれば必ず改善するはずで、薬にだけ頼っていると当然一時的に症状が改善したように見えても、必ずと言っていいほど再発するのです。
もし、様々な難病でお困りの方で原因治療、根治治療をご希望の方がおられましたら当院のアレルギー科へご相談ください。