専門医コラム
2016/12/16
認知症と白内障
白内障手術の認知機能への効果
筑波大学では、白内障手術を受けた55~93歳の88人(認知症ではない人)を対象に、術前と手術2カ月後で「本人が感じる見えやすさ(アンケート方式)」や「認知機能(MMSE)」がどう変化したかを調べています。
その結果、術後はものが見えやすくなってQOLが向上しただけでなく、認知機能も明らかに改善したとのこと! ただし、調査対象者には「すでに認知症を発症している人」は含まれていませんでした。
これまでの研究で、認知症の発症後に白内障手術をしても認知機能は改善しないことがわかっています。認知症は進行性の病気なので、なってしまえば認知機能を元に戻すことは期待できません。発症前に白内障を手術し、視力の改善を図ることが大事なのです!
そうは言っても、最初に述べたように手術に心理的抵抗があり、白内障による視力低下で生活に不便を感じていても、手術の決心までに時間がかかったり、手術しないまま放置する人は少なくないのが現状です。
勧められて白内障手術を受けてみたら・・・
Aさん(65)は、見えづらいために外出先で転ぶのを恐れて引きこもりがちになり、口数も減っていまし。「認知症ではないか」と心配した家族に連れられ、病院のもの忘れ外来を受診されたのです。検査をしたところ認知症ではなかったのですが、担当医があまり見えていないことに気づき眼科へ紹介してもらえました。
「年なので見えにくいのは仕方がないと考えていました。自分から眼科を受診しようとは思いませんでした。」
と、Aさんがお話しになられました。こうしたコメントは典型的なパターンで、白内障の手術を受けてよく見えるようになると、以前より活動的になり、ハイキングや登山にも出かけるようになったのです。
「家族の顔はもちろん、世の中が全て明るくなり第2の人生をもらったような感じです。こんな痛くもない簡単な手術だったら、もっと早く手術を受ければよかった!」
我々、眼科専門医はこのような嬉しい言葉を日々患者さんからいただいているため、白内障の手術時期を患者さんが思っているより早くお勧めする場合があります。そのため患者やさんから「私はまだそんな白内障手術を受けるほど、年を取っていない!」と不快に思われる場合もあります。一人一人の見え方は、その方にしかわからないのですが、「白内障の手術を考えたほうが良いですよ」と眼科医に言われた場合は、十分に相談、検討して早めの手術を検討されるほうが良いと考えます。
参考までに、当院で手術を受けた患者さんの実際の感想をホームページでご紹介しておりますので是非参照ください (→ 白内障手術体験談)
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また、やはり手術に抵抗があり、できれば手術をせずに白内障を予防したいという方も大勢いらっしゃるでしょう。以下、特殊なサングラスが白内障予防に繋がることを動画で説明しておりますので是非ご視聴ください。
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