専門医コラム

2016/12/21

怖い ”環境ホルモン”

「ホルモン」とは何か、きちんと説明できる方は意外と少ないです。

ホルモン(焼き肉の "ほるもん" とは違いますよ! 焼き肉のほうは "放るもん(捨てるもの)" が語源だそうです・・・)とは我々の身体の中の内分泌腺で作られる化学物質です。内分泌腺は、脳下垂体、甲状腺、副腎、膵臓、精巣、卵巣などに存在します。

内分泌腺から血液中や体液に放出されたホルモンは、その標的となる器官に脳のメッセージを伝えます。ホルモンが到達すると、その器官がホルモンの命令に従って働き、人の恒常性(ホメオスタシス)が保たれ身体のバランスが整うのです。

では最近話題となっている「環境ホルモン」とは何でしょうか?

今回は環境庁のホームページから以下ピックアップしてご紹介します。

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化学物質の内分泌かく乱作用

1960年代以降、世界各地での野生生物の観察結果から、環境中に存在している物質が生体内であたかもホルモンのように作用して内分泌系をかく乱することがあるのではないかと心配されるようになりました。平成8年には、海外の著書「奪われし未来」において指摘されたことをきっかけとして、化学物質による野生生物や人の生殖機能等への影響が疑われる多くの事例が取り上げられ、人に対しても同じような作用があるのではないかと懸念され大きな反響を呼び起こしました。

「環境ホルモン」「内分泌かく乱物質」「内分泌かく乱作用」?

環境中に存在して、生物に対して、ホルモンのような影響を与えるものということで、「環境ホルモン」という用語が用いられてきています。

“ホルモンのような影響”という部分をより科学的に表現した用語が、「内分泌かく乱化学物質」です。"内分泌かく乱作用"をもつ化学物質、ということです。

ただし、物質には、色々な作用があり、"内分泌かく乱作用"だけをもつ化学物質というのは、考えにくいのです。例えば、内分泌かく乱作用をもつ物質を食べてしまった場合、食べた量によっては、別の作用(生殖毒性や、神経毒性等)を示すかもしれません。ある物質がどのような作用を示すかは、生体が取り入れた量や、生体との関わりによって変化します。少ない量であれば身体にとって役に立つ作用をもつこともある物質(薬理作用)が、量が多くなると毒になるかもしれません(毒性作用)。ですから、ある物質について、その物質がもつ"内分泌かく乱作用"のみを取り上げて、「内分泌かく乱化学物質」という言い方をするのは、適切ではありません。

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我々の身体の中には本来なかった、ホルモンのような働きをする化学物質、と理解いただき、次回に続きます!

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