専門医コラム

2017/01/10

コンタクトレンズで入院!どんなときが危険? アメリカの事例

 
コンタクトレンズのトラブルはどのような時に起こると思いますか?
 
つけたまま寝ると危険なことは多くの方がご存知ですよね。
レンズをつけたまま寝てしまい、痛みで目が開けられないと駆け込む方が毎日のように後を絶ちません。特にソフトコンタクト、カラコンは危険です。
 
しかしコンタクトを指示通り使用していても危険な状況はほかにもあります。アメリカのおよそ1000件の事例が集計され、レンズの種類や状況ごとの問題件数が報告されました。
 

 

以下の研究からの報告をピックアップします。

 

Contact Lens-Related Corneal Infections - United States, 2005-2015.

 

 

MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2016 Aug 19.

[PMID: 27538244 ]

 

アメリカの政府機関であるアメリカ食品医薬品局(FDA)と疾病管理予防センター(CDC)の研究班が、コンタクトレンズによって起こった問題の報告を集計しました。

 

コンタクトレンズに関連して発生した問題(有害事象)はFDAに報告されています。

 

研究班は、コンタクトレンズの有害事象のデータベースから、”ulcer”(潰瘍)または”keratitis”(角膜炎)という言葉が出てくる報告を検索して集めました。

 

2005年から2015年に報告された有害事象のうち、1,075件の報告が見つかりました。

見つかった報告を、レンズの種類ごとに分類すると次のようになりました。

 

 

  • 日中つけるソフトレンズで起こった有害事象:615件(57.2%)

 

 

  • つけたまま寝られるタイプのソフトレンズで起こった有害事象:381件(35.4%)

 

 

  • 1日で使い捨てるソフトレンズで起こった有害事象:36件(3.3%)

 

 

  • 硬性通気型レンズ(ハードレンズ)で起こった有害事象:43件(4.0%)

 

 

  • ファッション用レンズ(度なし)で起こった有害事象:33件(3.1%)

 

 

  • 処方箋なしで買ったコンタクトレンズに起こった有害事象:16件(1.5%)

 

 

有害事象によって治療が必要とされた事例として、次のものが報告されていました。

 

 

  • 病院の救急部または救急クリニックに行った報告:130件(12.1%)

 

 

  • 入院になった報告:25件(2.3%)

 

 

  • 中心角膜瘢痕、視力低下などが起こった報告:213件(19.8%)

 

 

  • うち角膜移植が必要になった報告:47件(4.4%)

 

 

問題を起こしやすいと考えられた状況について調べると、次の報告が見つかりました。

 

 

  • 常にレンズをつけているか、眠るときもレンズをつけている:121件(11.3%)

 

 

  • 使用期限を超えてつける:85件(7.9%)

 

 

アメリカでは数千万人の人がコンタクトレンズをつけています。ここで取り上げられた事例は11年分をすべて合わせても1,000件あまりです。しかし、約6割で昼間の使用で問題を生じていました

 

むしろ、いつもレンズをつけて寝ていた人は、報告の中でも1割あまりにとどまりました。ほかの原因はなかなか予測しにくいと思われます。

 

処方箋なしで買ったレンズにも問題の報告がありました。どの程度危険なのかは使用者に占める割合で比較しなければわかりませんが、処方箋なしでは適切なレンズを選べる保証はなく、万一何かあったとしてもケアはありません。

 

そもそもコンタクトは目の異物! 目に入れるという行為自体が非生理的な危険を持っているのです。くれぐれも「コンタクトは安全」と誤解しないよう注意下さい。

 

コンタクトを5年以上毎日使用するのであれば、近視手術選択がコンタクトより遥かに安全であることはほぼ間違いないと考えられます。

 

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