専門医コラム

2017/01/11

下痢止めで緑内障が悪化!? 「下痢止め」の"意外な"作用

過敏性腸症候群など、アレルギー性体質で下痢を起こしやすい方が増えています。

一説によると、消化器内科を受診する患者さんの約半数が、過敏性腸症候群だと言われています。レントゲンや内視鏡、便の検査をしてみても、何の異常も見られないのに、症状だけが続くのです。重症化すれば、精神的なプレッシャーは相当なものになります。

通勤電車の中で腹痛が起こり、駅のトイレに駆け込む、というのが典型的です。大事な商談中でも我慢できない便意が起こって中座せざるをえない場合は深刻です。また、営業車の運転中に腹痛が起こったりというケースもあります。

この病気の原因はアレルギー体質になり様々なストレスに対して「耐える力が低下する」ことが原因のようです。ストレスが腸に直結してしまうのだとも言われます。

ストレスの無い方はいないでしょうが、周囲を見渡せばストレスがあふれている現代社会。同じような悩みを抱えているという人も多いのでは・・・。

胃腸の病気もある意味、「日本全国花粉症」と言われるくらいアレルギー体質が溢れている時代を象徴する病気といえるかもしれませんね。

特に「急に便意に襲われる」のは珍しいことではありません。世代を問わず身近な症状です。そんな時は速効性の「下痢止め」が役に立ちます。確かに「下痢止め」は強い味方なのですが、緑内障の方には要注意の場合があります。

"下痢"に使われている薬

「急なおなかのくだりにこの1錠」・・・

こんなフレーズがコマーシャルなどでも宣伝されていて、お腹が弱い方の心強い味方になっている「下痢止め」。

「下痢止め」といっても様々な薬がありますが、どのように作用するのでしょうか?

"急な下痢"という身体の作用は副交感神経の働きが主に関与しています。

副交感神経が過剰に反応している状況に消化管の動きが過剰になり過ぎて"下痢"に繋がることがあります。代表的な下痢薬では、この過剰な働きを抑えるには抗コリン作用という副交感神経の働きを抑えます。

下痢止めには、消化剤や整腸剤と一緒に配合されている薬もあります。

お腹の薬が眼に影響!?

下痢止め薬に含まれる「抗コリン作用」は消化管の過剰な動きを抑える反面で、逆に便秘になったり、口が渇くなどの副作用が出る場合があります。そして忘れてはならないのが眼圧への影響です。詳しい機序は割愛しますが、抗コリン作用によって眼が散瞳(瞳孔が過度に拡大)する場合があり、これが眼圧上昇につながり、緑内障の悪化(眼圧の上昇により視野が狭くなる病気)につながる可能性があるのです。

もちろん下痢止めで眼圧が上がる可能性がある緑内障の方は非常に少ないとされていますが、可能性がゼロというわけでもないのは事実です。緑内障との診断で投薬治療されていて、体質的に下痢になりやすい方などは「下痢止め」を飲んで大丈夫かを、事前に医師や薬剤師に確認しておくとよいでしょう。また緑内障などの持病をもっていない方でも、細菌などが原因の下痢の場合などでむやみに「下痢止め」を飲むとかえって症状が長引く可能性もあります。これは下痢を止めることで、細菌や細菌が作り出す毒素などを体の外へ排泄する働きを妨げてしまう可能性があるからです。

眼圧上昇の危険性は、眼科での検診で回避可能!

こうした内服薬の副作用で緑内障になりやすい方は、眼科へ受診されていれば予防治療が可能です。

そうでなくても緑内障患者さんは毎年日本では増加傾向です。40歳を過ぎたら自覚症状はなくでも「緑内障」ドックをおススメします。

困った時の頼りになる「下痢止め」ですが、自分の体質と症状に合わせて有効に使用して下さい!

・・・もちろん、当院のアレルギー科で体質改善をお勧めするのは言うまでもありません!?

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