専門医コラム

2017/04/22

糖尿病の原因治療　有害物質除去③

④　キレーション点滴

EDTA（エチレンジアミン四酢酸）と呼ばれる合成アミノ酸が金属イオンをキール（ギリシャ語でカニのはさみ）のように掴みとり結合する性質があります。この合成アミノ酸を利用して金属イオンを体外に除去します。「キール」という言葉から、「キレーション」という名前がついたと言われています。

実際のキレーション点滴薬にはEDTA にビタミンやミネラルが加わります。

EDTAキレーション治療の効果

有害金属を取り除きます。また抗酸化作用により血管を若返らせ、細胞を活性化する効果もあります。抗加齢医学の領域でキレーション治療が注目されています。動脈硬化治療効果や有害金属除去による様々な変性疾患の予防と治療効果が期待できるためです。

2種類のEDTAキレーション

EDTAキレーションには、カルシウム（Ca）EDTAとマグネシウム（Mg）EDTAの２種類があります。

Ca-EDTAは10分ほどで点滴しても比較的安全です。しかし動脈硬化に対する治療効果は確認されていません。比較的若く、動脈硬化治療の必要のない方が良い適応となります。

Mg-EDTAには動脈硬化改善作用と金属排泄促進作用の二つの作用があります。しかし急速に点滴すると血液中のカルシウムが急速に低下する弊害があります。不整脈などの副作用を合併する可能性があることから、約90分かけてゆっくりと点滴を行います。動脈硬化治療を目的とする場合にはMg-EDTA が適応です。

重金属の問題

水銀、鉛、カドミウム、などの重金属類は神経毒として知られています。こうした金属が体内に増えると視神経障害や末梢神経障害に繋がる可能性があります。北欧からの研究で、体内水銀蓄積がふえると心臓疾患のリスクが高まると報告もされています。ニッケルは皮膚炎などアレルギー症状に繋がりやすいと言われます。アルミニウムはアルツハイマー病の原因との可能性も示唆されています。金属の生体への障害は研究途上です。残念ながら、今後、様々な現象が報告されると考えます。

歴史を遡ると、産業革命以来人類の文明は急速に進歩しました。しかしその代償として、石炭や石油という化石燃料使用の弊害が生じているのです。この化石燃料には、鉛、カドミウム、アルミニウム、ニッケルなどの金属が不純物として含まれており、燃焼した際に空気中に放出されます。

大気汚染の原因です。

汚染された大気中にはこうした金属が浮遊しています。汚染大気下の環境に住んでいる人は呼吸により有害金属を体内に取り込んでしまいます。また大気中の金属は雨となって地上や海に戻り植物や魚介類の体内に蓄積を起こします。こうした食品を食べることでも人間は重金属を体内に取り込んでしまいます。マグロやサメなど食物連鎖の頂点にいる魚ほど水銀などの有害金属を蓄積しています。日本人が西洋人に比べて毛髪分析で多くの水銀が検出される理由として、マグロなどの魚介類摂取量の多さが指摘されています。

日本キレーション協会HPより