専門医コラム

2017/05/13

低血糖によって悪化する糖尿病網膜症、三大合併症②

前回お伝えしたように、交感神経緊張状態では、血管は収縮し血液は中枢に集められます。末端部分(末梢と呼びます)へはほとんど流れなくなります。

低血糖状態では、一番危険にさらされるのが身体で一番大切な臓器である「脳」なのです。血液で酸素やブドウ糖が届かなくなれば脳は死んでしまします。

そのため、交感神経緊張状態では身体は脳に優先して血液を送ろうとします。脳から下の臓器は生きていくためには後回しにされるのです。この反応は、脳より下の臓器はさらに低血糖の状態となることを意味します。身体の末端部分は優先順位の最後になってしまうのです。

長期間の血管収縮

後回しにされる末梢の血管は長い間収縮することになります。収縮していると血液は流れが悪くなり、「血の巡りが悪く」なります。血管そのものが障害されやすくなります。

その結果、末端の血管で特に細い血管が豊富な組織でエネルギーや酸素不足となるのです。

毛細血管が豊富な障害されやすい組織、はどこでしょうか? もうお分かりでしょう。目、腎臓、心臓から一番遠い手足です。すなわち3大合併症の起こる場所です。

薬物性低血糖、交感神経緊張状態が3大合併症の近道??

薬物治療をしている方は、薬の強い刺激によって高血糖から急激に低血糖になるリスクをはらんでいます。この低血糖状態を感知して、身体が急いで血糖値を上げるホルモンを分泌します。急いで過剰に分泌してしまい、今度は高血糖状態となる、という血糖の乱高下の悪循環に陥りやすいのです。振り回された身体は可哀想ですね・・・。これが最も大きなダメージとなり、繰り返していると当然3大合併症を助長することになります。

なぜ、糖尿病網膜症の話で、ここまで糖尿病コントロールの問題をお伝えしたかというと、糖尿病の管理を患者さんがしっかり理解されていないケースが多いからです。

「薬を増やして血糖下がっているから大丈夫!」と安心したかのように私の診察時に胸を張ってお話しされる患者さん!?   こうしたことをお伝えしたいのですが、忙しい外来診療中に十分なお話ができないのが現状です。

どのような病気でも、対症療法に留めず、原因治療を行うことが重要です。当然といえば当然です。しかしながら、意外と見落とされている盲点です。治せる病気も薬でその場しのぎの対応をすることで、治りにくくしていないか、見直してみることが大事なのです。

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