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前回からの続きとなります。
2008年4月、厚生労働省の研究班(国立がん研究センター)が「牛乳やヨーグルトなどの乳製品を多く摂取すると、前立腺がんになるリスクが上がる」という研究結果を報告しました。厚生労働省としては正義感のある発表であったと思います。
研究班は、95~98年に全国各地に住む45~74歳の男性約4万3000人に食習慣などを尋ね、04年まで前立腺がんの発生を追跡しました。摂取量に応じて四つのグループに分け、前立腺がんとの関係を調べたところ、牛乳を最も多く飲んでいる人が前立腺がんと診断されるリスクは、最も少ない人に比べて1・53倍との報告でした。
Kurahashi N, Inoue M, Iwasaki S, Sasazuki S, Tsugane S; Japan Public Health Center-Based Prospective Study Group. Dairy product, saturated fatty acid, and calcium intake and prostate cancer in a prospective cohort of Japanese men. Cancer Epidemiol Biomarkers Prev 17, 930-937. 2008.
ここで何故「前立腺がん」なのかについて、以下、追記します。
「女性を対象にする栄養疫学研究は真実を見逃す」可能性が知られています。疫学調査の難しさの一つでもあります。
Olafsdottir AS et al. Comparison of women's diet assessed by FFQs and 24-hour recalls with and without underreporters: association with biomarkers. Ann Nutr Metab 2006;50:450-460.
栄養調査における大きな問題として、女性が自分の食べた食品の種類と摂取量を正直に申告したがらない点が指摘されています。(女性蔑視ではないので悪しからず・・・)
食べたものの量を訊ねられて、女性の方、実際より少なめに答えたくなりませんか? あくまで男性に比較しての傾向ですが、洋の東西を問わないとも言われています。
多くの女性は「スイーツが欠かせない!」という傾向がありますね。当院の女性スタッフも例外ではなく、「甘いものだけは止められない」そうです(笑)。名古屋院周辺の栄地区のスイーツの店の多さと、その繁盛ぶりを見ると、この点はデータ集計は必要なく誰もが認めることなのではないかと思われます!?
脂肪が多い乳製品や、乳製品をふんだんに使用したスウィーツの摂取量を少なく答える傾向がありそうです。
先進国の女性の多くは脂肪の多い食品を食べると肥るという知識をもっています。ダイエット雑誌や書籍が良く売れていることでも、この裏付けとなりますね・・・。肥満につながるような食品をたくさん食べていること他人に知られたくない傾向です。
自己申告に頼る栄養調査(食品摂取頻度調査・24時間思い出し法)では女性の乳・乳製品の摂取量の信頼性が低下する傾向となるという医学研究です。
そのため、「前立腺がん」という男性のみを調査対象とする疫学研究の結果の方が信頼性が高いと考える研究者が少なくないのです。男性は食事の内容で「見栄を張る」傾向が女性よりは少ないと思われています。
そのため、厚生労働省が正式に発表した前立腺がんと乳製品との関連性を調べた疫学調査は信頼性という点で価値が高そうです。もちろん、男性が全員正直とは言えません。あくまで傾向とお考えください。
疫学調査は信頼できる?
「このようなことを言い出すと "研究" などといいながら、いい加減ではないか?」という意見が出てきそうです。
ある意味、「いい加減さ」があるというのが正しいと私は考えます。「科学的」とされていても人間の判断基準は絶対的なものではありません。この「科学的」栄養調査によって「乳がんと乳・乳製品」、「前立腺がんと乳・乳製品」の関係が研究されています。
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