専門医コラム
2017/08/10
アルミニウムの毒性
アルミニウムは多くの食品や水に入っています。
ところが最近、アルミニウムの毒性が急激に増加しているようです。
食品中のアルミニウムの毒性(厚生労働省ホームページより)
以下、厚生労働省のホームページより転載します。
( http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuten/aluminium/index.html )
1.食品中のアルミニウムに関する情報
アルミニウムは、天然にも土壌、水、空気中のちりなどに広範に存在します。土壌などから吸収されたアルミニウムが野菜、穀類、魚介類などに微量に含まれるほか、膨脹剤、色止め剤、品質安定剤などの食品添加物にアルミニウムが含まれています(表1参照)。
表1 アルミニウムを含有する食品添加物の用途と対象商品
用途 | 主な対象食品 |
膨脹剤(ベーキングパウダーなど) | 一部の菓子パン(メロンパンなど)、焼菓子(スポンジケーキなど)、
揚げ菓子(ドーナツなど)、蒸し菓子(小麦饅頭など、蒸しパン)など |
色止め剤 | 漬物(ナスの漬物、シソの実漬など) |
形状安定剤(煮崩れ等の防止) | 魚介類(たこ、いか、くらげ、うになどの魚介類)など |
品質安定剤 | 野菜等(芋、豆、ごぼう、れんこん、栗など)の煮物 |
着色料 | 食品全般 |
なお、大部分のパンと菓子パンは、パン生地を膨脹させるために「パン酵母」を使用しており、膨脹剤は使用されていません(パン酵母の発酵過程で発生する炭酸ガスにより生地が膨脹します)。
2.アルミニウムの毒性
ラットを用いた動物実験では、アルミニウムを多量に投与したときに腎臓や膀胱への影響や握力の低下などが認められています。食品の安全性を評価している国際機関(JECFA:FAO/WHO合同食品添加物専門家会議)※では、人が一生涯摂取し続けても健康への悪影響がないと推定される暫定的な許容量(暫定耐容週間摂取量)として、体重1kg、一週間当たり、2mgという値を設定しています。
なお、一時期、アルツハイマー病とアルミニウムの関係があるといった情報もありましたが、現在は、この因果関係を証明する根拠はないとされています。
※ FAO(国際連合食糧農業機関)とWHO(世界保健機関)が合同で運営する専門家の会合とし て、1956 年から活動を行っています。FAO、WHO、それらの加盟国、コーデックス委員会(FAOとWHOが設立した食品の国際基準(コーデックス基準)を作る政 府間組織。消費者の健康を保護するとともに、食品の公正な貿易を促進することを目的としています。)への科学的な助言機関として、添加物、汚染物質、動物用医薬品などの安全性評価を行っています。
3.国内での摂取量調査の結果
厚生労働省では、平成23年度~24年度に加工食品と野菜などの生鮮食品からアルミニウムをどれくらい摂取しているのか調査を行いました。その結果、ア ルミニウムの推定摂取量の平均値は、すべての年代層で2.の「暫定的な許容量」(許容量)を下回っていました。小児(1-6歳)では、許容量に対する摂取 量の割合が最も大きく、許容量の約43%でした。
アルミニウムを含む食品を多く食べる場合の推計では、小児では摂取量の多い5%の人が許容量を超える可能性があることがわかりました。小児以外の年代層では、許容量を超えませんでした。
アルミニウムの推定摂取量には、穀類加工品や菓子類などの寄与が大きく、これは、膨脹剤として使用される食品添加物(硫酸アルミニウムカリウムや硫酸アルミニウムアンモニウム)によるものと推察されました。
4.今後の対応
今回の調査結果では、アルミニウムの摂取量の平均値は、すべての年代層で許容量を下回っていました。しかしながら、アルミニウムを多く含む食品を 多く食べる一部の小児で許容量を超える可能性があり、また、国際的にもアルミニウムを含む食品添加物の基準の設定や見直しが進められています。
関係業界においては、これまでもアルミニウムを含む食品添加物の使用の低減化に向けた取組みを行っていますが、現在、我が国ではアルミニウムを含む食品 添加物の使用基準(使用量の上限)は設定されていません。このような状況を踏まえ、厚生労働省では、より高い水準での安全性を確保する観点から、パンと菓子類に膨脹剤として使用される食品添加物(硫酸アルミニウムカリウムと硫酸アルミニウムアンモニウム)について、以下の取組みを行うこととしました。
- (1) 関係業界に対して、さらなる自主的な低減化の取組みを依頼する。
- (2) 現状の使用実態を確認した上で、使用基準を検討する。
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パンと菓子類に膨脹剤として使用される食品添加物(硫酸アルミニウムカリウムと硫酸アルミニウムアンモニウム)に対してだけは、厚生労働省も対応を始めたが、その他についてはまだ手つかずのようです。
次回は、食品以外のアルミニウムの問題についてもお伝えしたいと思います。
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