カドミウム中毒の症状と体内への侵入経路
カドミウムは、広く一般的に土壌や海洋水にも存在します。 残念ながら、日常的にも食品や水の中でも見つかる可能性があります。
経口摂取によって急性中毒が起こると、吐き気・嘔吐、腹痛、下痢が現れます。 しかしこうした症状はすみやかに回復します。
一方、慢性中毒の場合は腎臓が侵されます。近位尿細管(きんいにょうさいかん)上皮細胞が障害を受け、蛋白尿、アミノ酸尿、糖尿がみられます。また、カルシウムが失われるので、骨軟化症も起きます。
タバコを吸わない人にとっては残念なことですが、他人のタバコの煙の吸入を介しても容易に吸収されたりもします。 受動喫煙問題の一つです。 余り知られていませんが、皮膚からも吸収される場合があります。
カドミウムは赤血球と結合し、我々の身体全身に運ばれます。
肝臓と腎臓は「肝腎かなめ」と呼ばれるように、我々の身体が生きていくために大切な「解毒器官」として機能しています。 カドミウムはこの肝臓、腎臓の解毒器官に特に蓄積するため大きな問題となります。
もう一つの大きな問題はカドミウムが体内から排泄されるために長時間を要するという点です。
カドミウムの排泄はゆっくりで、20~30年もの長期間体内に残る可能性があります。
カドミウムは亜鉛に似ています。 そのため本物の亜鉛の邪魔をして、亜鉛の代謝を阻害し毒性を発揮すると考えられています。
人間の代謝系には、亜鉛が必要です。 しかしカドミウムの毒性の標的となる可能性があります。
亜鉛が必要とされる約3000の異なる酵素、構造タンパク質があります。 これらの酵素やタンパク質がカドミウムの毒性により活性化されなくなることが問題となるのです。
カドミウム中毒の治療方法
経口摂取による急性中毒では、胃洗浄やEDTA(1日に1g)などのキレート薬の投与が有効です。
しかし慢性中毒に対しては、キレート療法は行えません。まず、カドミウムを含む食品や水の摂取をやめて自然排泄を待つことになります。症状に対しての対症療法が主体となるのですが、例えば骨病変についてはビタミンD2の大量投与や活性型ビタミンD3による治療が症状緩和に有効です。
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