専門医コラム

2017/10/21

「既婚者のほうが孤独でストレス値が高い」という研究報告

今回紹介するのは真面目な医学研究です。

が、このタイトルにうなずく方も多いのではないでしょうか(笑)

”結婚は健康に良い”

科学の世界では、昔から「結婚は健康に良い」という考え方が常識だったと思います。実際、私もそう思っていました。

独身のまま中年期を過ごすよりも、特定の伴侶を見つけた方が、健康的だと考えられていました。

結婚をすれば家に帰っても話し相手がいるため孤独に悩むことはなく、ひとり暮らしより食事にも気を使うはず。だから既婚者の健康レベルが上っても不思議ではない・・・と思われます。

しかし、そこまで結婚が良いものなら、ここ数年の先進国での5割を超える高い離婚率の説明ができません

実は、世代ごとの価値観の変化が反映されていない、という従来の研究の問題点が浮かび上がります。社会の倫理や価値観は時代とともに変わり、世代間の対立に繋がることは多くの方が認める点でしょう。

2017年、オハイオ州立大学のTumin氏が、世代の差を考慮した調査を行いました。1955〜1984年のあいだに生まれた既婚者12,373人を対象に、全員の健康レベルにどのような違いがあるかをチェックしました。

その結果を以下にまとめます。

・古い世代ほど結婚によって健康レベルは上昇する

・近年に生まれた世代ほど結婚しても健康にはなりにくい

どうやら、古い世代の人間は伴侶を見つければ健康になれるのに、若い世代になればなるほど、なぜか結婚のメリットを得られない・・・。

その理由としてTumin氏は次のように指摘しています。

「結婚による健康メリットが低下したのは、人口動態と文化の傾向が変わったのが原因だろう。」

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(参考文献)

Does Marriage Protect Health? A Birth Cohort Comparison

Dmitry Tumin

Version of Record online: 5 JUL 2017

DOI: 10.1111/ssqu.12425

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